その8

 

 

 

 

「こちら側から、お屋敷に入るのは初めてですわ」

目立たぬように設えられた裏門から無人の屋敷に入った恵里子は、もの珍しげに辺

を見回しながら、なんの不信感も抱く事なく年上の美しい従姉妹のあとに従って行

く。もしも、偶然にまた美香と正体不明の男と出会したらとも考えたが、舞子が一

緒にいれば安心だし、それこそ敬愛する年上の美女と二人で美香達の破廉恥な現場

を押さえて、これまでの屈辱を晴らすチャンスだと心の中で舌舐めずりする始末だ

った。舞子の案内に従い手入れの行き届いた日本庭園を回り込み、彼女は噂の土蔵

の前まで辿り着いた。

「さあ、到着よ」

セカンドバックの中から時代を感じさせる大きな鉄製の鍵を取り出した舞子は、手

慣れた様子で重厚な扉の施錠を解く。すこし深く考える習慣があれば、まず舞子が

何故、こんなにも本家のお屋敷の事情に詳しいのか? そして秘密の隠された土蔵

の鍵まで持っているのか? おかしいと思う点は数多いだろう。

しかし、年上の美しい従姉妹に心酔する恵里子は、まさか彼女が自分を陥れる事は

無いと迂闊にも信じきっていた。だから、舞子が壁際のタンスに隠されたからくり

のスイッチを操作して、土蔵の奥に設けられた地下階段の秘密の入り口を開いて見

せた時にも、なんの疑念を抱くことも無く、ただ驚いて目を見開くばかりだった。

「こっちよ、降りていらっしゃい」

最初に佑二が招かれた時には、裸電球が垂れ下がって侘びしさすら感じた地下への

通路だが、マメなサディストが少し手を入れたおかげで、今では蛍光灯の明かりも

眩しく、細く急な階段を踏み外す心配は無くなっている。

「お姉様、ここは、いったい何なのですか? 」

「百分は一見にしかず、とにかく降りて来なさいよ」

さっさと狭い階段を降りて行く舞子の後ろを、少女は心配そうな表情で付いて行く

。この期に及んでもまだ恵里子の年上の従姉妹に対する信頼は絶大なのだが、想像

を大きく上回る土蔵の地下の異様な雰囲気が彼女の不安を膨らませていた。

「ほら、こっちの扉を開けてごらんなさい、中には面白いものが一杯なんだから」

促されるままに合板製のどす黒い引き戸を開けると、中の光景を一瞥した少女は入

り口で立ち竦む。

「お姉様、これって… 」

「面白いでしょ、本家のお屋敷の土蔵の地下に、本格的なSMプレイを楽しむ秘密

 の場所があるなんて、誰も想像しないもの」

天井から釣り下がる銀鍍金製の拘束用の鎖や、皮のベルトがいたるところに巻き付

けられたスチール製のベッド、多くの男性器を象った淫具が所狭しと並べられた棚

等、ここがいったい何の為に秘密にされているのか、一目瞭然の地下室に足を踏み

入れた恵里子は、目を爛々と輝かせて尊敬する年上の美女を振り返った。

「間違いありませんわ! 美香の奴、こんな場所に男を引っぱり込んで… ああ、

 いやらしい」

天敵とまで思い定めていた生意気な同年の美しい従姉妹の決定的な弱味を握ったと

信じた恵里子は太々しい勝利者の微笑みを浮かべながら、秘密の地下室の中を物色

する。棚に並べられた数種類のバイブをしげしげと眺めたり、天井から垂れている

銀色の鎖をジャラジャラと音を立てて弄ぶ姿は自信に溢れていて、憎っき従姉妹を

、どんな風に懲らしめようか思案していた。

(うふふふふ… これであの子もお終いね。散々にいたぶって奴隷扱いしたあとで

 、あの厳しそうなお母さまに、この場所へ男を引き込んでいた事実をバラしてあ

 げるわ)

心の中で勝利の凱歌に浸る少女の背後に、舞子は静かに歩み寄る。

「ねえ、ここを美香ちゃん達だけに占有されるのは面白くないわよね」

背後から抱きすくめられて耳もとで甘く囁かれた恵里子は、ゾクっと細みの身体を

震わせる。

「あん、お姉様ったら… 」

(そうよね、こんな楽しい場所を美香たちだけに独占させるなんて許せない。確か

 にあの子は本家のお嬢様だけれども、だからと言って、何もかもがあの高慢ちき

 な馬鹿女のモノってわけじゃ無いわ)

これまで何をやっても勝てなかった美しい従姉妹への嫉妬心を滾らせて来た恵里子

は、逆転勝利を確信した奢りから年上の美女の誘いの台詞に素直に頷く。

「それじゃ、服を脱ぎましょう。たっぷりと可愛がってあげるわね、エリちゃん」

「はい、お姉様」

秘密の地下室の淫蕩な雰囲気に当てられた少女は、舞子に促されると素直に身に付

けたものを脱ぎ始めた。率先して舞子が全裸を曝したことから、僅かに逡巡を見せ

たものの恵里子もショーツとブラを脱ぎ捨てる。

「ほら、エリちゃん、こっちにいらっしゃい」

佑二の命名した「責め馬」と呼ばれる長椅子は、マメなサディストの手で日々機能

に改造が加えられており、長椅子の脇に複雑に組わされた鉄パイプが無気味な雰囲

気を醸し出していた。もしも見るべき人が見れば、それが産婦人科の診療台的な機

能を加味されている事を看破したであろう。そう… 舞子に連れられて足を踏み入

れた会員制の高級ラブホテルで目にした、あの器具の機能を佑二はホームグラウン

ドである土蔵の地下室に、そっくり真似て造り上げていた。

「さあ、この長椅子に仰向けに寝るの。それから両方の脚を両脇の台の上に乗せな

 さい」

命令に従い長椅子の上に寝そべった恵里子だが、左右の脇に設置された台に足を乗

せると大きく股を開き恥部を舞子に曝け出す事になるから、そこから先はモジモジ

して動けない。

「ああ、お姉様、そんな事、恥ずかしくて出来ません」

「うふふ、可愛い子ね。恥ずかしいならば手伝ってあげる」

真っ赤になった顔をふさいでいた少女の両手を引き剥がして、長椅子の脚から延び

た皮のバンドで固定した舞子は、次いで腰の部分もベルト椅子に縛り付けた。

「さあ、これでエリちゃんは逃げられないわよ。覚悟しなさい」

上半身をがっちりと固定された少女に引導を渡すべく、舞子は拘束された少女の下

半身の方に回り込む。最後の抗いを見せる太股に油断を誘うキスの雨を振らせたあ

とで、唾液の光る白く細い脚を左右に広げた状態で首尾良く固定させる事に成功し

た。

 

 

 

 


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