その3

 

 

 

 

「ここからの眺めは、やっぱり最高! 」

この裏山は彼女の祖父の所有する代物であり、頂上付近には海と山の神を祭

った小さな社も設えられている。基本的に神崎所縁の者以外は立ち入りを控

える不文律がある細い山道を加奈子は元気に登り続けた。

昔は夏休みの帰郷の際に幼い姉と二人で冒険を繰り返した山を、加奈子は懐

かしい思いを噛み締めながら、今日は一人で歩いて行く。ほんの20分程で

山頂に辿り着いた彼女は、ベンチのかわりに用意されている大木の切り株に

腰を降ろして、束の間、森の中の静寂を楽しんだ。木々が風に揺れて枝葉が

擦れ合うさざめきや、都会では聞く事の無い野鳥等の囀りが何とも心地よい

「ふぅ… やっぱり来て良かったわ」

都会の喧噪を離れて心地よい自然を一人占めした加奈子は、周囲からちやほ

やとされる姉夫婦に対する嫉妬が、何ともつまらない事に思える様に成って

いる。

元々は仲の良い姉妹であり、結婚を機に姉の興味が自分から義兄に移ってし

まった事や、家族がこぞって常男を褒めそやすのに反発していた加奈子だっ

たから、少し冷静さを取り戻せば蟠りなどは呆気無く氷解する。

(でも、お姉ちゃんを取られたのが悔しいってだけじゃ無いのよねぇ… 何

 かあの男、気に触るというか? 本当に皆が言っているほどに良い人なの

 かしら? )

理屈では説明出来ない違和感を覚えたのは、乙女の鋭い勘なのか? しかし

、家族や親類に対して言葉では説明の不可能な警戒心を抱える加奈子は、野

鳥の囀だけが響く静かな自然の中で、苛々が解消されて行くのを感じている

。まだ幾分強い日ざしを優しく遮ってくれる木の葉が風に揺れる光景を、彼

女は心地よく眺めていた。その時… 

(えっ? なに? )

小鳥の囀りに混じって、なにか生々しい声色が微かに彼女の耳に飛び込んで

くる。風に乗って加奈子の耳に達した声は、小さなお社の裏側から流れて来

ていた。

(誰か? 誰か来ているの? でも、ここはウチの地所だし… )

古来からのしきたりで神崎家所縁の者以外は立ち入りを遠慮する裏山だし、

親戚衆は皆漁師でこの時間には出漁しているはずだから、加奈子はひとりを

楽しむ為にこの場に登って来ている。だから、まさか他に誰かが先んじてい

るとは想像もしていなかった。空耳を疑う彼女だが、艶っぽい声は断続的に

、そして確かに加奈子の耳に届いて来る。

(ここに来るって言うことは… まさか! )

ごくりとひとつ生唾を呑み込んだ彼女は腰掛けていた切り株を離れると、な

るべく足音をたてぬ様に気を使いながら、古びた小さな社へと近づいて行く

。昔、姉と隠れんぼや冒険遊びに使った場所だから、今でも大まかな勝手は

分かっている。加奈子は心臓が早鐘を打鳴らす中で、そっと社の壁に寄り添

うと角から裏手の方を窺う。

「あっ… あぁぁぁ… あなた… はぁぁぁぁぁ… 」

風に乗って流れてくる微かな嬌声は、彼女の想像を裏付ける代物だ。加奈子

は声が漏れてくる社の裏手の雑木林に意識を集中して耳をすませる。

「だめぇぇ… あなた… そんなにしたら… あひぃぃぃ… 」

声はやっぱり鬱蒼とした雑木林の中から漏れて来る。

(たしか、この向こうには小さな広場があるのよね)

子供の頃に冒険した社の裏手の様子を記憶の隅から引き出した彼女は、静か

に足を踏み出して想像の確認に乗り出す。少し足を進めただけで、加奈子は

思った通りの光景に出会した。

ひときわ大きな一本杉の根元に陣取った若い二人の男女の営みは、彼女を黙

らせるのに十分なインパクトを持っている。普段着に姉が愛用しているデニ

ム地のロングスカートは脱ぎ捨てられて側の木の枝にぞんざいに掛けられて

いる。杉の大木が錨だと思いつめた様にしがみつく姉の白く艶かしい尻には

、加奈子が余り気に入らない大男が取り付いて、ゆるやかに腰を前後させて

いるのだ。

「あっ… あぁぁぁぁ… 」

姉と義兄は夫婦なのだから、こういった営みを行う事はありえるだろう。し

かし、場所が白昼の神社の裏手の雑木林の中であるのは問題だ。

(お姉ちゃんたら、何もこんな所でしなくても… )

大木にしがみつき若い夫に尻を預けて嬉々として嬌声を張り上げる姉の乱れ

姿を見て、加奈子は大混乱に陥った。東京の大学に進学しながら、いまだに

処女の加奈子にとって姉の乱れ姿は心臓が破れる程に驚きの光景に他成らな

い。

なにしろここは子供の頃に姉とよく遊んだ神社の裏の雑木林なのだ。いくら

なんでも場所柄と言うモノもあるだろう。しかも、まだ昼を少し回ったばか

りの時間であり、とても夫婦生活を営むには適切なタイミングとは思え無い

ここで声を掛けるべきなのか? もしも声を掛けて諌めた時の気まずさを思

うと、容易に身を曝す事が躊躇われた。それに仲の良い姉がこんなにも乱れ

狂う姿を見せつけられてしまい、加奈子はその場に固まり、何時しか目の前

の光景に魅入られて行く。

悪ふざけの過ぎる女友達から、洋モノのノーカットAVを見せられた経験は

あるが、こうして良く知る二人の人物が白昼に人目を忍んで盛り合う光景は

、アダルトビデオなどでは味わえない興奮を加奈子に齎している。

日焼けしたゴツい義兄の尻と、その向こう側で揺れる白く艶かしい姉の尻の

コントラストが、妙に生々しく思えた彼女は今さら咎めだてするのも不粋に

思い、このまま出歯亀を決め込む決意を固めていた。男性経験を持たない処

女は、つい好奇心に負けている。

「あっ… あふぅぅ… ああ、そんなに突いたら… きゃぁぁぁぁ… 」

二人とも下半身は露出しているが、上の着衣は着けたままな事が、この密や

か営みの異常さを如実に物語っているだろう。クリーム色のブラウスの裾を

くびれた腰まで捲り上げられて尻を曝す姉の狂態は見てる加奈子を圧倒する

確かに、網元の大家と言っても、加奈子達の故里は基本的には和風の屋敷な

事から完全なプライバシーを確保するのは難しい。新婚と言えば、まあ、新

婚である姉と義兄の事だから、互いを求め合うのも分からない事は無い。し

かし、たかが1週間程度の滞在なのだから、なにも無理してこんな場所で夫

婦生活に及ぶ事もあるまいと、男と女の間の闇を知らぬ妹は心の中で愚痴を

漏らす。

(いったい、何を考えているのかしら、お姉ちゃんたら… もう)

生まれて初めて顔見知り同士の生のセックスを垣間見た加奈子は、己の出歯

亀行為を棚に上げて、姉夫婦の行状を心中で密かに誹る。

「あぁぁぁぁ… アナタ、もう駄目、いっちゃう… ひぃ… 」

杉の大木にしがみついて夫に尻を捧げている芳美の淫らな声は、もう謹みを

すっかりと忘れている。まさか己の実家の地所である裏山に傍観者が潜んで

いるとは思わぬ彼女は、あられもなく盛りきり、白く艶かしい尻を夫の律動

に合わせて狂った様に振り乱す。

(うわぁ… お姉ちゃんたら、あんなに… でも、すごい)

木の幹にしっかりと爪をくい込ませて牝の乱れを見せつける姉の艶姿にあて

られて、加奈子は何度も生唾を飲み込み姉夫婦のセックスを盗み見る。赤の

他人が演ずるアダルドビデオでも、相当に興奮するモノだが、相手はよく見

知った姉と、その旦那なのだからたまらない。

まだ男性経験の無い加奈子にとって、幼い頃から仲良く過ごして来た姉の芳

美が見せる牝の狂いは非常に衝撃的であり、つい足を止めて木陰から出歯亀

行為に勤しんでしまう。

 

 

 

 


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