「だめぇぇ… もう、いく… ひぃぃ… いくぅぅぅぅぅぅ… 」 杉の木にしがみつき前屈みに成った芳美が、尻をブルブルと震わせて絶叫した 瞬間に、義兄の常男も一際深く突き上げたままで動きを止めた。 「ひぃぃぃぃぃぃぃ… 」 芳美の艶っぽい悲鳴が、人気の無い神社の裏の雑木林に殷々と響く。 (お姉ちゃん… イッたんだ… あれが、イクって言う事なのかなぁ? ) すぐ先で繰り広げられた桃色遊戯に見とれて、加奈子はつい身を乗り出して二 人の事を見つめてしまう。行き付けの美容室で斜読む女性週刊誌の赤裸々な性 生活の記事で見知った絶頂とかオーガスムスと言った単語を思い起こしながら 、加奈子は遮蔽物から不用意に上半身を曝して姉夫婦の行為を眺めていた。そ の時… 不意に常男が振り向いたから加奈子は大いに慌てて木の影に身を翻す 。 (まずい! 見られたかしら? 覗きがバレちゃったかなぁ? ) 本来ならばこんな場所で青カンしている方が非常識なのであるが、黙って覗い ていた負い目もあり、加奈子は義兄からの叱責の声を恐れて木の影で身を竦め る。しかし、数秒間待ってみても、ついに常男の声は聞こえなかった。 (よかった、バレてない… 大丈夫だよねぇ… ) おそるおそる木の影から顔を出して確かめてみれば、二人は動じる事もなくし っかりと抱き合いキスを交わしている。 (オッケー、ラッキー、ばれてない。今のうちに… ) まだまだ二人だけの世界に浸っているであろう姉夫婦を雑木林に残して、加奈 子は足音を立てぬ様に気をつけながら早足で出歯亀の現場を立ち去って行った 。その後の加奈子は理性を総動員して姉夫婦に接している。 しかし、ちょっとでも気を抜くと、尻を剥き出しにしてよがり泣く姉の艶かし い姿と、義兄のたくましい突き上げを思い出してしまい、ひとりで赤面する事 も多かった。それでもなんとか帰省を終えて、一家は問題も無く田舎を後にし て東京に戻っていた。 (なんか… すごいモノを見てしまったわ… ふぅ… ) あの裏山での記憶が生々しいうちに、加奈子は姉夫婦に頼まれて留守宅で子猫 の世話をする為に、こうしてやって来たのだった。慌ただしく二人が出かけた 後に、生活感の溢れるリビングに佇むと、いやでも、あの裏山の光景が脳裏に 浮かんでしまい、加奈子はソファに腰掛けたまま、ひとりで俯き赤面する。 べつに何か理由があって処女を守っているわけでも無い。ただ、引っ込み思案 で、あまり派手な事が好きでは無い彼女だったから、巡り会いのチャンスが乏 しいだけの事だ。処女であっても、否、処女だからこそ男と女の行為に対する 好奇心は大きく、あの衝撃的な光景の記憶は今でも加奈子を悩ませている。 (やっぱり、いいのかなぁ? だってお姉ちゃんたら、あんなに夢中に成って お尻を振っていたもの… あっ… そうだ! ) 何かを思い付いたのか? 加奈子は不意に立ち上がりリビングを出て廊下に歩 み出る。 (ここだよね、たしか… ) 廊下に面した扉の一つを開いた彼女は、小さく溜息を漏らすと薄暗い部屋へと 足を踏み入れた。 (うわぁ… ダブルベッド、って事は、お姉ちゃんは義兄さんと一緒に寝てい るんだよね? うん、夫婦だもの) 夫婦の寝室に入りアイボリーのフリークロスに包まれたダブルベッドを眺めな がら、加奈子は頬を赤らめてひとり頷く。 (ここで、お姉ちゃんと常男さんは… やっているんだよね。あの時みたいに … ) 神社の裏の雑木林での光景の記憶が再び鮮明に蘇ったから、加奈子は堪らずに 身を翻してベッドルームを後にする。 「別に、夫婦なんだから、ヘンじゃ無いのよね? うん、夫婦なんだもの… 」 窓際の篭で二匹の子猫が身を寄せ合って眠るリビングへと戻った加奈子は、再 びソファに腰を降ろして独り言を呟いた。 (ふぅ… 何をひとりでドキドキしているの? まったく… ) 自分でもおかしいと思うのだが、それでも処女の加奈子にとって身内の姉の性 行為を盗み見た体験の衝撃は大きく、そのショックから中々抜け出せない自分 を持て余してしまう。 「そうだ… テレビでも見よう」 最初は姉夫婦の新居のあちらこちらを探索しては、ひとり赤面を繰り返した留 守番の加奈子であったが、一通り検分が終わるとすぐに退屈する。彼女は新聞 のテレビ欄を見て、お気に入りだったドラマが再放送されている事を知り、テ レビのスイッチをオンにした。1時間ほどは懐かしいドラマを眺めていたが、 番組が終わってしまった事から彼女はリビングのソファに腰掛けたままで、一 つ大きく伸びをした。 「ふぁぁぁぁ… 終わっちゃった」 テレビを消すためにラックに近づいた時に、彼女はビデオデッキに目をとめる 。 「ああ、そうか… 地元のお店でレンタルビデオを借りてくれば良かったなぁ … 見たい映画はけっこう溜まっているんだからねぇ… 」 独り言で愚痴た加奈子は、ビデオデッキの上に無造作に置かれたままの1本の テープに目をとめる。 「これ、何を録画したのかな? 」 背表紙を見ても内容を示すラベルは張られてはいない。しっかりと巻き戻され ていたテープを、何の気なしに彼女はデッキに装填する。コントローラーが見 当たらなかった事から加奈子はビデオ本体のスイッチを使ってテープを再生す る。 「えっ? なっ… なに、なによ、コレ? えぇぇぇぇ! 」 何の前置きも無しに、いきなり映し出された画面の中では姉の芳美が全裸でソ ファに腰掛けて、脚をM字に開き股間を自分で弄っているのだ。腰掛けたソフ ァの色や、その背景に映る壁紙の色が異なる事から、撮影された場所はこの家 では無い様に思える。どこだか分からない場所で黒い皮張りのソファに尻を落 として虚ろな表情のままオナニーに耽る姉の姿を見て、処女の加奈子は呆気に 取られた。 「おっ… お姉ちゃん、だよねぇ? 間違いないわ」 余りにも淫らな光景を見て、最初は理性が画面の中の女を姉の芳美とは認めた がらず、暫くは呆然としてしまった加奈子だが、やはりどうみても、全裸で股 間をM字に開き自慰を行っている女は芳美に他成らない。 「でも、なんで? これって義兄さんの趣味なのかしら? 」 裏山の雑木林で出歯亀した光景を上回る衝撃的な映像を見てしまった加奈子は 、膨れ上がる好奇心にそそのかされて真相を確かめるべく画面から目を逸らさ ない。 おそらく妹が見る事に成るなどとは考えてもいない美貌の姉は、同性の目から 見ても色っぽい風情で脚を開いたまま女陰を指で弄び続けている。それにして も、なんたる淫媚な光景であろうか?角度から見る限り姉はおそらく三脚など で固定されたビデオカメラに向って全裸を曝してオナニーに耽っているのだ。 子供の頃から仲の良い聡明な姉が、たとえ夫である常男に望まれたとしても、 こんなに淫らな行為の記録を承諾していた事に加奈子は大きなショックを受け て、まばたきすら忘れ去りビデオの再生画面を見つめてしまう。
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