現実の問題を考えれば、高校生のカップルが気軽に愛を確かめ合う行為を行う 場所を確保するのは難しい。その点、旧校舎奥の学校からも生徒等からも見捨 てられた生徒会館の地下室は、二人にとっては格好の愛の隠れ家に成っている 。 この地下室での行為に溺れて美咲は股を大きく開いたまま、夢見る様な笑みを 浮かべて溜息をまき散らす。最近はようやくセックスに慣れてきた少年は薄い 下草をかき分けて、彼女の淫裂を執拗に舐め回す。溢れる愛液で鼻の頭をテカ らせるのも構わずに、彼は牝の臭いの強く漂う女陰に唇を何度も押し当ててい る。 「あふぅぅぅぅ… 気持ちいい、弘人… あぁぁぁ… 」 もう洪水状態と言っても過言では無い彼女の股間に顔を押し付ける少年は、わ ざと音を立てて濡れた淫裂をしゃぶり回すから、美咲の興奮も一入だ。自分の 愛撫に反応して、生々しい声を張り上げる美貌の生徒会長の嬌声を聞きながら 、彼はこうした関係を結ぶに至った経緯を思い出していた。
美咲は間違い無く学校中の生徒の憧れの存在であり、彼女にコクって玉砕した 連中の数はふた桁に及んでいる。生徒会の会合においても、自分の不備を厳し く叱責する女生徒会長は、彼にとって憧れると同時に畏敬すべき存在であり、 まさかこうして学校の施設の地下で性交に及ぶ間柄に成るとは、ほんの1月程 前までは想像すらしていない。 自分勝手な主張を繰り返す、各学年の代表連中のエゴイズムを論破した上で押 さえ込み、さらには学生の権利を最小限に押し止めようと目論む教師側とは、 忍耐強い折衝を繰り返す美貌の生徒会長に憧れた弘人は、たとえどんなに厳し い叱責を受けても頑張って、生徒会における美咲の指示を忠実に実行している 。 少なくとも、一月前までは美咲は彼にとって性的欲求の直接の対象では無かっ た。余りに立派すぎる美女は、安易に妄想で汚す事すら憚られていた。だが、 少年の思いは美咲によって破られる。教師側との交渉が難航した髪形規制の緩 和を、ある程度成し遂げた頃の事だった。 生徒総会で発表する規制緩和の報告の原案作りを急いでいた弘人は、他の生徒 会の役員が帰った後も美咲と二人で本来の生徒会室に隠り、ワープロでの原稿 作成に追われていた。総会の前に教師による検閲もあるから、弘人は慎重に言 葉を選びながら文面を組み立てて行く。ここで馬鹿げたミスを犯せば、これま での美咲の粘り強い交渉が無駄に成る事もあり得るから、弘人はワープロの画 面の睨み最大限に集中していた。だから彼は美咲がさりげなく出入り口のドア に鍵を掛けた事も気付かずに、懸命に総会の為の草案作り打ち込んでいた。 (それにしても暑いな… あれ? 窓が閉まっているじゃないか! ) 古い建物だけに冷暖房に設備など皆無であり、頼りは旧式でカタカタと音を立 てて首を振る扇風機と、あとは外気の風だけなのに、今日に限って何故か生徒 会室のマドは全部閉じられており、御丁寧にカーテンまでも降ろされているの だ。 (いかん! 暑いなどと気を散らしている場合じゃ無い。今日中に、この草案 を練り上げておかないと、生徒総会までは、もう幾日も間が無いからな) まだ汗ばむ程の陽気では無いから、弘人はもう一度集中してワープロの画面に 目を走らせる。 (以上の要望を鑑みて、生徒会は学則第7条のb項3の、生徒の髪形に… ) 自分が書いた草案をそこまで読み返した弘人の耳に、シュルシュルと場違いな 衣擦れの音が飛び込んで来る。 (えっ? なんの音だ? ) 驚く少年に向って、机を隔てた反対側に座っていた美咲が話し掛けて来た。 「暑いわね、中根くんも脱いだら? 」 「はっ? 脱ぐって? 」 鈴を転がす様な軽やかな声に誘われて、ワープロの画面から顔を上げた弘人は 、最初はキョトンとした顔をしていたが、ものの数秒の後には、その顔は驚愕 の表情が張り付いていた。 なんと、美咲は制服であるブラウスを脱いでしまい、ブラジャーを剥き出しの 姿で、少年と同じ様にワープロに向き合っているではないか! 冷静に考えれ ばスリップも無しにききなりブラが丸出しに成った事が妙だと察するべきだっ たが、完全に想定外の状況に置かれた弘人の思考は固まってしまい、なにも考 える事が出来ない。水色のシンプルなブラジャーに包まれた白く艶かしい胸の 膨らみは、年頃の少年に対する必殺の武器であろう。 「ほら、手が止まっているわよ。早く草案を仕上げないと、ここで夜を明かす 事になっちゃうんだからね、中根クン」 二人きりで生徒会室に隠っている状況なのに、肌も露な下着姿でカチャカチャ とキーボードを叩く美女の現実感の無い台詞に急かされて、ようやく美咲から 視線を引き剥がした少年は、意志の力を総動員して自分のワープロの画面を睨 み付ける。だが、頭の中でまとめていた総会に関する文面は、美咲の艶かしい 下着姿のイメージに吹き飛ばされて、とっくに何処かに霧散している。 (二人きりなのに、あんな、格好に成るなんて… 僕って、男として見られて いないのかな? ) 美咲の存念が分からぬ少年は、自信を無くして項垂れる。だが、彼の耳に、こ んどは、何か軽い布がパサリと落ちた微かな音が飛び込んで来た。 (パサって… まさか! ) 恐る恐るワープロの画面から目を上げた弘人の目に、ブラジャーすら脱いでし まった美咲のセミヌードが飛び込んでくるから、もう少年は堪らない。ワープ ロを操作する為に脇をしめて忙し無く動く両手のせいで、豊かな胸の膨らみも 細波の様に揺れ動くから、弘人の目は釘付けだ。 夢か妄想では無いのか? と、最初はしっかりと目を閉じて、一つ大きく深呼 吸をしてから、ゆっくりと瞼を開いてみても、目の前の上半身裸の美女の姿に 変わりは無い。目を開けたら実は夢であり、自室の天井が見えるのでは無いか と予想していた少年は、彼の視線など気にもとめずに半裸でワープロを操作す る美咲を、ただ唖然として見守ってしまう。どうして良いものか分からぬ童貞 の少年は、呆然と美咲の暴挙を見つめていたから、不意に顔を上げた彼女と、 バッチリ目が合ってしまった。 「暑いから脱いじゃった、君も脱いだら? 中根クン」 大胆極まりない美女の言行に圧倒されて、弘人は驚き固まったままだ。そんな 少年の反応を確かめた後に、淫媚な笑みを浮かべた美咲は立ち上がると、あろ うことか今度は自分の手でスカートの脇のファスナーを降ろして見せる。 これまでよりも一段と大きな音を立てて、フレアの多い学校指定の制服のスカ ートが床に滑り落ちた。まさかと息を呑む少年の前で、美咲は思いきりよく最 後の一枚に手を掛ける。ちらりと弘人を見て反応をたしかめた後に、彼女はス ルスルとシューツを下ろして両足を交互に上げて薄絹を脱ぎ去った。あらかじ め靴や靴下も脱いでいたらしく、美咲は少年の前で正真正銘の全裸を曝け出し ている。
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