その14

 

 

 

 

「なんだか、気分が悪いぞ? おい、ほんとうに平気なのか? なあ、おい… 」

「大丈夫よ、ここまで来たら後戻りなんて出来ないんだから、男ならば愚図愚

 図言わないのよ」

顔色が青ざめた国防軍の仕官の腕に、百合子は最後の注射針を刺して行く。

(幸い、最後の難題だった、あの新宮の一族の男の遺伝子情報も、薮蚊のおか

 げで手に入ったし… さて、どうなるかしら? 7人の実験体兵士に比べて

 、およそ3倍の薬剤の、しかも急速な注入ですもの。これが上手く行けば、

 理想の獣が出来上がってくれるはずよ)

これまで重ねて来た超人化計画研究のデーターに、新たに徹の遺伝子情報を組

み込み、この場で即席で仕上げられた新しい薬剤の効能は、いったいどれほど

のモノなにか? 被験者である横瀬には内緒で無謀な人体実験に臨む女化学者

の顔に、なぜか淫蕩な笑みが浮かぶ。彼女は邪な期待に胸を踊らせながら、禍

々しい薬剤を軍人の体内に余すところなく注入を果たす。

「おい… なんだ? どうなっているんだ… ぐっ… ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ

 … 」

最後の注射により体内で薬剤が急激な科学変化を起こすから、横瀬は血走った

目を見開き、拘束されたベッドの上で身を捩る。

「なんなんだ? 熱いぞ、おい、これは、いったい… 熱い、熱い! なんと

 かしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ… 」

「なによ、それくらい。少しは我慢したらどうなの? それでも軍人なのかし

 ら? 」

頑丈に作られた拘束具つきのベッドの上で暴れる横瀬に、なぜか熱っぽい視線

を向ける百合子は、あろうことか、その場で立ち上がると自分の手でスカート

を捲り上げる。露になったショーツに手を突っ込み、すでに潤んでいる肉裂に

指を添えて摩る美貌の化学者は、脂汗を滴らせて苦悶する実験体を好色そうな

目で見つめていた。

「さあ、変わりなさい。あなたこそゼロ・トエルブの正当な伝承体に成るのよ

 。他の出来損ないの7人と違って、新宮の男の遺伝子情報を加味されている

 あなたは真の化け物に生まれ変わるの。そうよ、あなたこそは本当の支配者

 、誰も及ばない冷酷な悪魔の化身。いいこと? あの時みたいに、私を犯す

 の。ああ、はやく犯って欲しい… 」

瞳に狂気の光りを仄めかせた百合子は苦しむ国防軍の仕官の脇で、淫らにも自

慰に耽っている。あの西崎の企みにより無惨にも犯された事を思い出して、彼

女は虚ろな顔でオナニーに没頭して行く。

過去に偏執狂的な天才化学者に横恋慕された彼女は、西崎の悪行の末に暴走し

たクローンの人形殺戮兵器に拉致されて、山奥の洞窟へと連れ込まれた挙げ句

に、けして普通の人間との交わりでは味わう事の無い、地獄の愉悦を骨身に刻

み込まれていた。

次の瞬間には命を断たれるかも知れない緊張感の中で、人並みはずれたスケー

ルの男根により、媚薬付けにされた女体を飽くことも無く責め続けられた彼女

は、救出直後に一時的には色情狂の態を示し、己を律するに至るまでには半年

の年月が必要であった。

悪魔のクローン体から救出後に収容された病院においても、また、その後数カ

月を過ごした矯正施設においても、彼女はひたすらに男を、いや、男根を求め

て、何処でも誰にでも股を開く色狂いの女と化して周囲を唖然とさせている。

生来の美貌が仇と成り、この錯乱の期間に彼女の精を注いだ男の数は三桁にも

及んでいる。

悪意の塊と成った天才化学者の目論み通りに、百合子から媚薬の効果が消えて

、理性を取り戻すまでには、およそ半年の月日が必要であった。しかし、いっ

たん正気を取り戻せば、彼女は極めて有能な化学者であるから、峰南技研は百

合子の職場復帰を歓迎している。

だが、周囲を驚かせたのは、彼女が己を辱めた西崎の研究を引き継いだ事にあ

る。まさか、あの騒動の原因であり、その後には忽然と姿を消した西崎のクロ

ーン兵器研究に、最大の被害者のひとりである百合子が加わるとは、誰も予想

はしていなかった。

しかし、これまで彼女は周囲の驚きや戸惑いなどは歯牙にも掛けずに研究に没

頭して、失踪した西崎の残した資料を基に、すでに7人の実験体の実用試験に

まで漕ぎ着けていた。しかし、彼等は単なる不完全な実験体に過ぎない。

なぜならば肝心な情報が抜け落ちているからだ。ゼロ・トエルブを最強の戦士

たらしめたのは、オリジナルである徹の遺伝子情報だった。こればかりはおい

それとサンプルを取る事は難しい所であったが、彼の血を吸った薮蚊を叩き落

して、ほんの僅かな血液サンプルを手に入れられた僥倖を無駄にする事なく、

彼女は欠けた最後のピースを研究材料にはめ込んで、最強の狂戦士開発の最終

段階に達していた。そして、新宮の一族の外戚衆最強の男の遺伝子情報を得た

8人目の実験体が、いま、この瞬間に誕生しようとしているのだ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ… 熱い、これは、いったい、どう言うことなんだ?

 おい、もう止めろ! 中止だ! ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ… 焼ける、躯が、熱

 い… ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ… 」

青白かった横瀬の顔色は一転して真っ赤に成り、尋常ではない汗が体中から噴

き出している。脳波や心電図を取るときよりも多くの配線で躯中を繋がれた、

不様に呻く8人目の実験体の脇に置かれた各種のモニターの画面を見て、百合

子は恍惚の笑みを浮かべる。

「大丈夫よ、まあ、根拠は無いけれど、たぶん、平気。これくらいで死んじゃ

 う様ならば、失敗だもの… それならいらないわ。次の標本を探すだけよ…

 あふぅ… 満足させてくれる男じゃ無きゃ、単なるガラクタよ」

拉致された山の洞窟で骨が軋み肉が蕩ける様な快美を味わってしまった百合子

にとって、もう一度、あの快楽を再現する事が何よりも生きる目標と成ってい

る。秘密の研究所での惨劇の後では、どんな男に抱かれてみても、精神的にも

肉体的にも彼女の餓えを満足させてくれる者はいなかった。

色に狂った美貌の化学者にとって、神にも等しい存在となったクローン実験体

はオリジナルである徹の手で『破壊』されてしまっているから、もう百合子は

『彼』には期待は出来ない。

さらに、騒動の元凶である西崎も身を隠してしまったとなれば、彼女に残され

た道は殺戮クローン体である0・12の再生に他成らない。周囲が驚く様な情

熱を傾けた百合子の研究は、実は彼女の個人的な欲望を満たす為の代物だった

。けして人前では見せる事の無い狂気に満ちた笑みを浮かべたままで、百合子

は苦しむ横瀬を眺めながら、熱の隠った自慰にのめり込む。

「うふふ… もう少しよ、ほら、脳波が過去の実験データーと同じ様に乱れて

 来たわ。そうそう、肉体が生まれ変わっている証拠だもの。さあ、通常の数

 倍の薬が、いったい、どんな結果を生み出してくれるのか? あふぅぅ…

 本当に楽しみね」

実験も山場を迎えたころ合いを見計らい、百合子は苦悶の余りに意識が朦朧と

成り、細かい痙攣をくり返す軍人の元に歩み寄り、哀れな被験者のズボンとブ

リーフを引き降ろす。

「あらあら、こんなに大きくしちゃって… 相当に溜まっていたんじゃ無いか

 しら。まあ、その方は私にとっても都合は良いけれど… 」

百合子はベッドの柄に置かれている事務用のテーブルの引き出しから、細みに

注射器を取り出した。手慣れた様子で注射針のカバーを外した女化学者は、む

き出しにした横瀬の下腹部へと手を延ばす。

 

 

 

 

 


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