「そりゃあ、娘に見られたら格好悪いわな。隣の親父を寝室に連れ込んでのセ ックス三昧なんだから。そうだろう? 奥さん? 」 「ああ… 言わないで、そんな酷い… あっ… あぁぁぁぁぁ… いいの、好 き、このオチン◯ン… きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ… 」 父親の背中が大きく動き、それに合わせる様に人妻の両方の脚がブラブラと揺 れる様をみて、智博は大いなる混乱に陥っている。時折は加奈子に代わって彼 の性欲の捌け口と成る美しい隣家の主婦が、まさか自分の父親の浮気相手とは … しかし、そんな少年の驚きをよそに、彼の下腹部はこれまでに無いくらい に固く勃起している。 耳に飛び込んでくる悲鳴には、童貞の少年であっても分かるくらいに媚びた甘 えが感じられるし、けして陽子が嫌々ながらに少年の父親に抱かれている様に は到底見えないのだ。加奈子を訪ねる度に、朗らかな笑みを浮かべてもてなし てくれる清楚な人妻の面影は、寝室で男に組み伏される彼女からは完全に掻き 消えている。 余りにも衝撃的な光景を盗み見る事になった少年は、ゆっくりと寝室の扉を元 の通りに閉めると、まるで夢遊病患者の様におぼつかぬ足取りで静かに隣家を 後にした。
「カナちゃん、御飯よ」 母親の呼び掛けに、加奈子はぶっちょう面で二階から降りて来た。 「ねえ、ママ、今日さぁ、トモの奴に会わなかった? 」 夕餉の支度が整った食卓に、加奈子は不満げな表情のままで席に付く。父親は いつものように役所の仲間とマージャンなのであろう、今日も今日とて母親と 二人きり夕食であるが、思春期を迎えた少女にとって、父親は煙たいだけの存 在であるから、別に加奈子は不在を気にもとめてはいない。 「えっ? お隣の智博くん? 会わなかったわよ、なんで? 」 御飯をよそう陽子は、まだ娘の問いかけの重大さに気付かない。 「うん、今日ね、アイツにCDのダビングを頼んだのよ。ほら、アタシ、まだ 自分の新しいデッキに慣れていないから。でも、アイツ、ちゃんとダビング はしてくれていたんだけれど、全部やりっぱなしなのよねぇ… カギも机の 上に置きっぱなしだし、ステレオの電源もいれっぱなしだったの。明日学校 で会ったら文句を言わなきゃ」 母親から御飯茶碗を受け取った少女は、好きな歌手が出るテレビ番組を思い出 して、急いでリモコンを使ってチャンネルを合わせたから、向かい合わせに座 る陽子の顔から血の気が引いて行くのに気付かない。 「あの… それって、今日の話なの、カナちゃん」 「えっ… なに? 」 ちょうど好きな歌手がMCとの会話シーンが画面に現れた事から、加奈子は母 親を振り返ることも無く生返事する。 「その、えっと、CDのダビングを智博クンに頼んだの、今日の事かしら? 」 「うん、そう。明日までに返さなきゃダメだったから、早く帰るアイツに頼ん だの」 悪い想像に青ざめる母親を見る事も無く、加奈子は気楽に答えている。真っ昼 間に強引に押し掛けてきた卓三に迫られて断り切れなかった陽子は、一時の情 事を自宅の寝室で、つい楽しんでしまった。本来であれば、郊外のラブホテル での逢瀬を楽しむ不倫カップルなのであるが、卓三は気まぐれに隣家に押し掛 けて来る事がある。 ダメだと拒んでみるものの、夫婦の寝室に不倫の相手を招き入れての桃色遊戯 は、ラブホテルでは味わう事の無い緊張感があり、とくに隣家の主婦を家のベ ッドルームで犯す事に卓三が喜びはりきるものだから、この頃は陽子の方も油 断して身を任せる様に成っている。もちろん世を忍ぶべき不倫行為であり危険 なのは百も承知はしていたが、刺激に溢れた性交に溺れた報いが、思わぬ形で 陽子にのし掛かって来たのだ。 (見られた… 智博くんに、見られてしまったんだわ) 思えば、昼間の情事を終えて、彼を送りだす時に玄関の鍵が開いていた。最初 は自分が閉め忘れたものと思い、迂闊さに冷や汗をかいたものであるが、考え てみれば、確かに鍵を掛けた憶えがあるのだ。おそらく、娘の加奈子から鍵を 預かった少年が訪れて、彼女と父親の不倫の現場を目撃してしまい、そのまま 逃げ出したのであろう。最悪な形で事が露見したのを悟った陽子は、それでも 娘に勘付かれない為に極力平静を装いなんとか夕食を済ませて行く。 (なんとか、しなくちゃ… そうよ、なんとか… ) 呑気にテレビの歌番組に見入る娘をよそに、陽子は事態の打開策を懸命に思索 していた。
「はぁ〜 」 校門を出た智博は、がっくりと脱力して深いため息を漏らす。昼休みに加奈子 から、なにもかもやりっぱなし放り出してあった昨日の失策を厳しく詰られて も、事の真相を明かす事には躊躇いがある少年は、ただ頭を下げるより他に手 立ては無かった。 (それにしても、まさか、親父が陽子さんと浮気しているなんて… 思っても 見なかったよ) 子供の智博から見ても、がさつで大雑把な父親と、隣家の美しい人妻の関係を 、まだ少年は理解に苦しんでいる。祖父の代まではヤクザと兼業土建屋であっ た智博の家は、その影響を強く受けた父親に受け継がれ、今でこそカタギの看 板を掲げているが、数十人の社員連中の目は鋭い者も多い。戦後のどさくさに まぎれて、地方都市の土地を買い漁った祖父のおかげで、幾つかのマンション やテナントビルを駅前に持つ父親であるから、厳しい御時世にあっても資金的 には余裕があり土建屋の営業も上手く行っているらしい。 しかし、所詮は成り上がりの悲しさで、大きな邸宅は金は掛かっているが、あ まり品は良く無いし、酔っぱらう度に大暴れした末の高校中退を自慢する父親 からは品性の欠片も感じられない。最近熱中しているゴルフにしても、腕を磨 くよりも先に、最新のモデルのゴルフクラブを買い漁るものだから、家の物置 きには5〜6セットのクラブの他に、数十本に及ぶドライバーが転がっている 。 (でも、ゴルフだって言って出かけて、ほんとうは陽子さんとセックスしてい るんじゃ無いのかなぁ? いいなぁ… 親父の奴) 最初は父親の母に対する裏切りに憤りも感じたが、時が経つにつれて不義を詰 る思いを嫉妬が押し退けている。もちろん、少年の自慰のネタは加奈子が中心 なのであるが、ときどき、幼馴染みの美しい母親も、彼の妄想の対象と成り艶 っぽい姿を想像している。 そんな光景を現実として目撃してしまったものだから、智博の昨晩のオナニー のネタは、当然陽子と成っていた。隣家の美しい人妻は、とても高校生の娘が いる様には見えない若さを保っている。加奈子も黙っていれば十分美少女で通 るが、その母親である陽子は何とも言えない大人の色香を感じさせてくれて来 た。少年が遊びに行けば、いつも柔らかな微笑みと共に迎えてくれている隣家 の人妻の事を思うと、不覚にも帰宅の途中にも関わらず、少年は股間が急速に 強張って行くのを抑えきれない。
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