その5

 

 

 

 

ひとつ年上な事から、なにかに付けて高圧的で、彼を子分としか見ていない加奈

子に比べて、母親の陽子は常に智博にはやさしく接してくれている。そんな隣家

の主婦が、よりによって自分の父親に組み伏されてあられもない悲鳴をまき散ら

す場面に遭遇した少年は、まだ自分が目撃した光景が何かの間違いではなかった

のか? と、自問を繰り返すばかりだ。しかし、職業柄、よく日焼けした父親と

は対照的な真っ白な肌の美しい隣家の人妻が、艶かしくも男に抱き着き、聞いて

いる男ならば誰でも奮い立つ様な甘い悲鳴を漏らして、ブルブルと裸身を震わせ

る姿は、けして見間違いでも何でも無い。

瞼の裏に焼きつけた情景をオカズにして、昨晩には3度も抜いた少年であるが、

思春期特有の底なしの性欲のせいで、今日になって思い出しても、股間がむくむ

くと力を取り戻して行く。昨晩、夕食の時に父親の顔をそれとなく見ても、なん

だか妙にドキドキしてしまい、不貞を犯しているのは卓三なのに、智博の方が何

故か後ろめたい気持ちに苛まれている。

(でも、すごいよな、親父は。あの様子ならば、昨日が初めてって言うわけでも

 無さそうなのに、家では全然、そんな気配は見せないんだから)

一昨日までは、生活力はあるものの、野卑で粗暴な面ばかりの目立つ父親に、あ

まり敬意を払ってはいなかった少年は、隣家の美しい主婦を鮮やかにモノにして

いる卓三を、ある意味では見直している。余りにも衝撃的な光景の目撃者と成っ

た智博は、まだ混乱を引き摺りながらトボトボと家路についていた。

パッ… パァァァァァ… 

己の思念の奥に気持ちを沈ませていた少年は、斜前に停まっていた車からクラク

ションを鳴らされて驚いて顔を上げる。

(あっ! よ… よっ… 陽子さん? )

白のマーチの運転席で微笑む隣家の人妻を見つけて、智博は大いに動転する。も

ちろん、自分の出歯亀行為が露見しているとは露程にも思わぬ少年だから、ここ

は冷静に対応せねばとぎこちない笑みを見せるが、いざ、彼女を目にすると、や

はり昨日の隣家の寝室での濡れ場を思い出してしまい頬が引き攣る思いは否めな

い。言わば奇襲攻撃を喰らった少年が立ち竦む姿を見て、美しい人妻も昨日の行

為を智博に目撃された事を確信した。しかし、既に覚悟を決めている美人妻は、

内心の不安を顔に出す事もなく、あくまで自然に愛車の助手席の扉を開く。

「まっていたのよ、トモくん。さあ、乗ってちょうだい」

「えっ? ボクを… なんで? 」

後ろめたい気持ちが有ることから逡巡する少年を宥める様に、陽子は笑みを絶や

さない。

「いいから、乗って… 加奈子に見られたらお互いにマズイでしょう? 」

本当は少年の方には、別に何ら不味い事など無いのだが、昨日の事を思い出した

智博は、そんな必要も無いのに慌ててマーチの助手席に滑り込んだ。

「シートベルトをしてちょうだいね、トモくん」

予定通りに帰宅途中の少年のピックアップに成功した陽子は、そっとひとつ小さ

く安堵のため息を漏らすと、そのまま何処に行くと告げる事も無く愛車を発進さ

せる。行き掛り上、素直に助手席におさまってしまったものの、何故自分が隣家

の美しい人妻に待ち伏せを喰らったのか分からない智博は、なんと切り出して良

いのか分からぬまま、チラチラと上目使いで陽子を盗み見る。困惑する少年に向

かって、いきなり陽子は本題に触れて来る。

「昨日はとんでもないところを見られちゃったわね、トモくんに… 」

「えっ! あの… あの、えっと… 」

まさか自分の覗きが発覚しているとは思わなかった智博だったから、彼女の言葉

に反応が出来ず、結果的に出歯亀行為を認めてしまう。

「あの、ボク、だれにも言いませんから。お袋にも、親父にも… それに加奈ち

 ゃんにも、その、絶対に言いません」

不貞を犯しているのは陽子の方なのだが、何故か触れてはならない秘密を知って

しまった様な申し訳なさを感じた少年は、大慌てで言い訳を繰り返す。少なくと

も父親を寝取った自分に対して少年が害意を抱いて無いと分かった事で、車を操

る陽子の方の緊張も解れて行く。

「ごめんね、トモくん」

「いえ、あの、あやまらないで下さい、どうせうちの親父が悪いに決まっている

 んだから… その、絶対に、そうだって分かっています」

柔和な笑みに寂し気な陰がさした美貌の人妻の様子を憂いて、少年は懸命に言い

募る。

「ありがとうね、トモくん。でも、お父様が悪いんじゃないのよ… 」

息子の智博から見ても粗暴で野卑な父親の事を陽子が庇った事から、少年の驚き

は増している。

「ことの始まりは私の方の無理なお願いだったの」

平日の昼間な事もあり、車の量の多い幹線道路をゆっくりと走りながら、美貌の

人妻の話は続く。

「私の弟は隣街で小さな印刷工場をやっているんだけれど、あまり商売が上手く

 無くて、儲かってはいなかったのよ。その上、1年前に不渡り手形を掴まされ

 ちゃってね… もう、夜逃げしか無いってところまで追い詰められてしまった

 の」

上手にハンドルを操作して、スムーズに車を流れに乗せた陽子の説明が続いて行

く。

「ウチの主人は公務員で、家計に余裕なんて無いし… それで、思い余って、卓

 三さんに相談、いえ、借金をお願いしたのよ。ほら、トモくんの家って、お金

 持ちじゃない? 」

彼女の言葉に、少年は黙って頷いた。たしかに智博の家は世間相場から見れば金

持ちであろう。住んで居る家の大きさも、明らかに建て売りである隣家の陽子の

自宅に比べるべくもなく大きく立派な代物だ。

「ほかにアテもなかったから、一生懸命にお願いしたら、お金を貸してくれる代

わりに、愛人に成る様に言われたわ」

「そっ… そんな、ひどい! 」

人の弱味に付け込む父親のやり方に、まだ若い少年は義憤に駆られて声を上げた

。しかし、理不尽な申し出を受けたにも関わらず、何故か陽子は笑みを浮かべた

ままだった。

「あら? そうかしら? ただ隣に住んでいるだけで、担保もなしで大金を貸し

 て欲しい、しかも返済の目処は立ってない、なんて言う申し出をする方が図々

 しいのよ。むしろ、卓三さんの反応は予想通りだったの。だって、あなたのお

 父様ったら、いつも私を見るときに、好色そうな目をしていたんだもの」

借金のカタに躯を望まれたワリには、陽子はウキウキとした態度を見せていて、

隣に座る少年を困惑させるばかりだ。

 

 

 

 

 


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