秘書室の女 前編 
その1

 

 

 

 

けして業界の最大手では無いが名前を聞けば誰でも頷く老舗の商社は、日本橋

に近い場所に本社のビルを構えている。昨今の都心の再開発ブームに乗り遅れ

た感は否めぬものの、歴史を物語る重厚な構えのビルの中では、今日も大小幾

つものドラマが繰り広げられており、当事者にとっては人生を決めるチャンス

や、逆にせっかく手にした地位を失うピンチが錯綜している。

今となっては高層とも呼べない最上階15階に並ぶ役員室の中でも、最終的に

は取締役社長を目指す重役連中が、同じ階に陣取るふた桁には足りない数のラ

イバル等を油断なく見回して、なんとか一歩、いや半歩でも他を出し抜いてや

ろうと、虎視眈々と機会を狙っていた。サラリーマンとして1000人を超え

る社員の中で、ほんの一握りの幸運な実力者だけが到達する取締役の幾つかの

ポストなのだから、その地位の満足する者も中にはいるが、大半の連中は最後

の勝負と成る社長の椅子を賭けて、表面上はにこやかに手を携えて会社の為に

働きながら、水面下ではライバルを蹴落とし伸し上がる事だけを考えて互いに

鎬を削る毎日が、飽く事も無く繰り返されている。

もちろん、能力のある者は己の得意分野において最高の実績を残して、それを

武器に戦う体制を整えて行く。また、不運にも商才には恵まれぬ者は、金儲け

の才覚では無く人事の妙を頼りに、現在の地位を確保して、さらに前進する道

を模索する。自他が認める会社の舵取り役まで出世を果たした取締役の連中だ

からこそ、たった一つの社長の椅子を目指して、ある者は徒党を組み勢力を延

ばし、ある者は販売実績を延ばして力を誇示する事に忙しい。

歴史あるビルの15階で個室を持つポジションに至るまでの競争も激しいサラ

リーマン世界であるが、ようやく取締役に辿り着いた彼等役員にとって、ここ

からが社長の座を目指しての最後の大勝負と成る。そんな役員の仕事の補佐を

任されるのが秘書室の社員らの責務であった。秘書室長のポジションは次期役

員の有力候補を目されるだけの事はあり、特に役員秘書には男女を問わずに社

内から有能な人材が集められていた。

その中でも次期社長レースにおいて筆頭と見られる浅野常務付きの秘書である

日高真弓子は際立った存在として社内では広く知られている。国立の中でも最

高と評される大学を優秀な成績で卒業した真弓子は、入社5年目の春に役員秘

書への抜擢を受けて、こうして仕事場を15階へと移していた。入社1年目か

ら会社の就職募集用のパンフレットの表紙のモデルに抜擢された彼女は、同期

入社の男正社員のみならず、全ての独身男から一目も二目も置かれる存在なの

だ。

容姿端麗と言う四文字熟語は、まさに彼女の為に用意された物に違い無いと、

多くの若い男性社員が納得する真弓子だったから役員秘書を拝命した際には、

15階の役員の間でドラフト会議が行われたという噂がまことしやかに流れた

ものだ。もちろん役員の身の回りの色々な世話を受け持つ秘書であるので、事

務的な能力だけでは無く、細やかな気配り等も要求されるのはあたりまえだ。

その点においても真弓子は水準を十二分にクリアしていて、これまでに仕事の

上で彼女を誹る様な話は流れた事は無かった。

一般の社員から見れば雲の上の存在とも言える役員の仕事を補佐する秘書であ

るので、迂闊に声を掛けたりアタックするのが憚られるところでもあるが、そ

れでも彼女の伶俐な美貌に引かれて、身の程知らずに無謀な接近を試みる若者

は後を断たない。

それは、真弓子が今でもフリーだと信じられているからだ。適齢期と言う言葉

も死言になりつつある現代であっても、年齢層が当然高い役員連中であるから

、真弓子には彼等から持ちかけられる見合いの話も引きを切らない状態なのだ

。しかし、印象的な笑みを絶やす事も無く、それでいて断固とした態度で作為

的な出合いの機会を退ける真弓子だったから、社内の男連中の高望熱は増すば

かりと成っている。

彼女の美貌と能力の前では、同僚の女性社員も最初から競争が無駄である事を

察している。格段の差がある真弓子をライバル視する事の愚かさを知る多くの

女性社員らは、せめて無視することでかろうじでプライドを保つ事に成功して

いた。そんな真弓子にも、もちろん年相応のプライベートは存在する。3連休

を控えた週末のある夜、仕事を終えた彼女は社内の若者等から寄せられた幾つ

かの合コンの誘いを笑顔で断り、こうしてシティ・ホテルの一室に駆け付けて

いる。

ぬるめのシャワーを浴びて、昼間の厳しく忙しい仕事のストレスを洗い流せば

、これからの行為に対する期待で胸がときめいて来る。玉の肌を磨き上げてい

る最中に、背後で浴室のドアが開く音がした。

 

「まちきれないよ、真弓子」

乱入者の大越哲也は営業3課の係長である。同期の中で一番に係長の椅子を掴

んだやりてのサラリーマンは、こうして高嶺の花である秘書課の美女の心も捕

らえていた。すくなくとも哲也は、そう信じている。ここに至るまでの涙ぐま

しい懸命な努力など、こうして美しい真弓子のヌードを拝めば、なにほどのも

のでも無かったと言い切れる。

幾多のライバルを出し抜いて、彼女を己のモノにしたと信じるパワー・エリー

トの商社マンは、いきなりの闖入にも怒るどころか笑みを浮かべて迎え入れて

くれた真弓子に近付き、そのまま彼女を抱き締める。次期社長の筆頭候補と目

される浅野常務のおぼえもめでたい真弓子を娶る事が、彼の出世の糸口に成る

可能性を考えたサラリーマンは野望を心の片隅に隠したまま、シャワーの飛沫

も気にする事も無く彼女を抱き締めて唇を奪いに掛かる。

たとえ社内の地位など関係が無くても、真弓子ほどの美女を抱くのは素晴らし

い。しかも、その上に、彼女との恋愛が上手く進むなら重役とのパイプ作りに

も役立つとくれば、申し分などどこにもあるまい。真弓子の歓心を得る為に、

彼はこれまで付き合いのあった軽い関係の女等をきれいさっぱり処分している

。中には泣いて哲也の不実の詰る者も居ないでは無かったが、15階への到達

を最初の、そして現時点では最大の目標としている哲也だから、邪魔に成る女

の処分は徹底していた。

そうして、ようやく手に入れた真弓子は、彼を十分に満足させてくれる上質な

女だった。処女で無かったことが不満と言えば不満だが、振り返って己の行状

を鑑みれば、文句を言えた筋合いでも無い。つまらぬ言い掛かりで関係に影を

落す事を嫌った哲也は、その一点について目を瞑る決意を固めている。

これまで関係を持ったどの女よりも真弓子は美しく、さらにプロポーションも

抜群に良い。日頃は役員秘書の役目柄、比較的にかっちりとしたスーツ姿の多

い彼女であるが、豊かな胸元やくびれたウエストラインなどは、ともすれば野

暮ったいスーツなどでもけして隠す事は出来ない。それが、こうして一糸纏わ

ぬ姿を曝け出している際には、なおさら美の化身の様な姿に思える。

跳ね上がる飛沫を気にする事も無く密接に肌を合わせて濃密なキスを躱せば、

彼女の昂りを示す様に目もとは赤く染まり、切な気に眉を顰めている。調子に

乗った哲也は彼女の手を掴むと、もう十分に勃起している己の股間に導いた。

「あっ… 」

驚いた様な声を上げた真弓子だが、けして手を引っ込める様な不粋な真似には

及ばない。それどころか、彼の思いを汲み取って、隆々となった肉棒に指を絡

めてゆるゆると扱き始めてくれるのだ。

舌を絡めて唾液を啜り合う濃密なキスを交わしながらも、真弓子は手にした肉

棒の熱さに幻惑されて、一時の熱情の暴走を楽しんでいる。他愛も無く彼女の

手の中でピクピクと蠢く男根を擦れば、彼女の頭の中に別の生々しい光景があ

りありと浮かび上がるのだが、そんなふしだらな思いは微塵も見せずに、真弓

子は純粋にセックスを楽しんでいる。

(これも、チ◯ポ… そして、あれも… チ◯ポ)

浴室の戯れて男を悦ばせる行為に勤しむ真弓子だが、恋人の肉棒を掌で感じる

程に、他の思いに捕われて行く。

 

 

 

 


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