その6

 

 

 

 

「こんなスケベなパンティを履きやがって。やっぱり、俺の事を誘惑するつも

 りだったんだろうが? 」

確かに母親が身に付けている下着は、いつもに比べて派手だった。男心をくす

ぐる様な黒くきわどいショーツの上から、利雄は彼女の股間を撫で上げる。

「ああ、だめ、さわらないで、こんなこと、間違っているわ。ねえ、利雄さん

 。すぐに手を離すのよ。あなたが今やろうとしている事は、取り返しのつか

 ない過ちなのが分からないの? 」

唇からこぼれる言葉は正論であるが、何故か母は力を込めて本気で抗っている

様には見えない。むしろ、無理矢理に迫る義理の弟の獣心を掻き立てる為に、

わざと心にもなく逆らっている様にすら見受けられる。だから真弓子は少しだ

け開いたドアの隙間から、室内を覗くだけで、母親の偽りの窮地を見過ごして

いる。

「あんまり逆らう様ならば、アンタじゃなくて、マユちゃんに相手をしてもら

 うことにするぜ。あの年ならば確実に処女だろうからな」

いきなり自分の名前が叔父の口から出た事で、真弓子は大きなショックを受け

た。可愛がっている姪っ子に、まさか覗き見られているとは思わぬ利雄は、彼

の暴言に唖然とした美しい義姉を睨み付ける。

「本気だぜ、あの子は俺になついてくれているからな。アンタが犯らせてくれ

 ないならば、アンタの娘と犯るだけだ。どうするよ? 頼りの兄貴は海の上

 だぜ、娘が俺に犯られてもいいのかよ? 」

ケダモノと化した義理の弟の脅しに、彼女は屈してしまう。

「わかりました、一度だけ、あなたの相手をします。でも、相手をしますから

 、絶対に真弓子には乱暴はしないで下さいね。約束して欲しいの、真弓子は

 … 」

「ああ、わかっているさ。俺はロリコンじゃ無いぜ。アンタが俺に抱かれてく

 れるならば、あんなションベン臭い小娘を無理に犯る必要は無いからな。わ

 かったら、もう暴れるなよ」

とても本気で嫌がり抵抗している様には見えなかった母が、すっかりと大人し

くなった事が真弓子にはショックだ。

「そうそう、最初から大人しくしていれば、こっちも紳士的にふるまったんだ

 ぜ。聞き分けが良いと苦労が無いからな、義姉さん。いや、もう名前で呼ぶ

 ぜ、美奈子」

名前を呼び捨てにする事で優位に成った立場を明確にした利雄は、抵抗を止め

た美貌の義姉の篭絡に取りかかる。

「おねがい、乱暴はやめて… それから、これは二人だけの秘密にしてちょう

 だい。こんな事が主人に知れたら… 」

「当たり前だろう? 俺だって兄貴と喧嘩するのが御免だよ。二人が黙ってい

 れば、絶対にバレないさ」

すでに秘密は露見しているが、お互いの事で目一杯な二人は、息を顰めて状況

を見守る小さな目撃者に気付かない。

「それにしても、やっぱり想像していた通りのオッパイだぜ」

美奈子が受け身に成った事から、義理の弟はむき出しになった彼女の豊かな胸

元の玩弄に取りかかる。

「あっ… だめ、悪戯しないで… はぁぁぁ… 」

人さし指と中指の間に乳首を挟み込んだままで右手で乳房を絞る様に握り締め

れば、痼った桜色の突起から生まれる快美の波動が、愛撫されることに慣れた

人妻を情けなく喘がせる。夫が長い航海に出ると、娘と二人でしっかりと主不

在の家を守って来た美奈子だが、ようやく熟れて来た女体を持て余す日々が続

いている。

娘が眠った深夜にひとり夫のいないベッドで己を慰める空しさに耐えて来た彼

女にとって、何か用事を見つけては家を訪ねて来てくれる筋肉質の若い義弟は

、実は自慰の妄想のオカズに成っている。こうして、夫の弟から無理矢理に迫

られて、しかた無く躯を開き彼を迎え入れる状況は、夜のベッドの中で何度も

繰り返して想像されていた。

だから利雄が彼女に向かって言い放った『誘惑している』と言う台詞は実はあ

ながち間違いでは無い。彼が家に来る時には、わざと下着が透けて通る様な白

いブラウスを多用して来たし、スカートの丈もいつもよりずっと短い代物を履

くように心掛けていた。時には今でも自信のあるプロポーションを見せつける

様に、躯の線がくっきりと浮き出るワンピースで出迎えた事もある。

今日にしてみたところで、あらかじめ電話で来訪を告げられると、入念に化粧

をした上で白いブラウスの胸のボタンをわざと2つ外しておき、義理の弟の視

線が谷間がチラつく胸元や、短いスカートからむき出しの生脚に泳ぐ所を密か

に楽しんでいる。だから、義弟の暴挙は彼女の方に責任は大きい。散々に挑発

を繰り返した末に、ようやくこうして想像が現実のモノになった事で美奈子は

大いに興奮していた。

しかも、義弟はわざわざ彼女の娘の真弓子の名前まで出して来て人妻の抗う術

を奪い取ってくれていた。これはけして不倫行為では無く、娘を獣の様な義弟

から守る為のやむをえぬ行動だと彼女は己を誤魔化している。

「あぁぁ… だめ、やめて、そんなにしないで… きゃぁぁぁ… 」

抵抗をやめた美奈子は、久しぶりに味わう快感に溺れそうに成り、あわてて身

を捩り彼の手から逃れようとする。あまり早くに陥落してしまうのは、貞淑な

人妻を演じる上で都合がわるい。あくまで彼女は娘の為に嫌々身を投げ出す哀

れな人妻でなければ成らないのだ。そんな義姉の態度を見透かした様に、利雄

は両手で彼女の胸を強引に揉みほぐす。

「なんだよ、可愛い声を上げて… やっぱり兄貴が長く家を空けているから、

 義姉さんも溜まっているんだな」

「あふぅ… そんなことありません。あっ… あっ… あぁぁぁぁ… 」

口では逆らって見るが、義理の弟の言い放った不遜な台詞は実は大当たりだっ

た。女盛りを迎えた美奈子にとって4ヶ月にも及ぶ夫の不在は残酷な仕打ちに

他成らない。なまじ真面目なばかりに外で遊んで発散する事も無かった美人妻

は、妄想が現実化した今の状況に戸惑いながらも、だらしなく甘い悲鳴を漏ら

してしまう。

(ああ、すごい… なんで、こんなに感じるの? 夫じゃなくて利雄さんだか

 ら? それともベッドじゃ無いところで弄られているからかしら? だめ、

 声が出ちゃう… はぁぁぁぁぁ… )

夫による閨での優しい愛撫よりも鮮烈な快美の波が押し寄せる事を怪訝に思い

ながらも、彼女は何時しか抵抗を止めて義弟の成すがままに胸元を玩弄されて

行く。

「よし、大人しくなったな… 諦めが肝心だぜ、美奈子」

抗がう事を止めた美しい義理の姉の態度に気を良くした若者は、彼女の胸元へ

の玩弄を一時中断すると、まるで彼を挑発する小道具の様に思えた黒のショー

ツを剥ぎ取りに掛かる。

 

 

 

 

 


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