その6

 

 

 

 

「とってもやんちゃで意地っぱり、それでいて憎めない子なのよね、卓郎の奴

 。そのタクちゃんにあなたはよく似ているの。顔だちもそうだけれど立ち振

 るまいもそっくり。初めてビデオ屋さんで見た時にはタクちゃんが遊びに来

 てくれたのかと思ったわ」

友康の二の腕に頬を密着させて恵美の邂逅が続く。

「これは旦那にも秘密なんだけれど… 私は重症のブラコンなのよ。ブラザー

 コンプレックス。子供の頃から弟に恋して来たヘンな女。自分でもおかしい

 と思うけれども、でもタクちゃんに対する思慕の念は思春期に成っても強ま

 るばかりだった。だから、あの子に彼女が出来た時には、本当に悩んだし哀

 しい思いをしたものだわ」

過去の辛い思い出を語る恵美であるが、その口調は淡々としたものだ。

「白状すると、私の最初のキスの相手はタクちゃんよ。あの子が中学に上がっ

 たばかりの時に女の子に興味を示し初めてくれて、それで私の方から誘惑し

 たの。さすがにセックスには至らなかったけれども、あの子のオナニーを手

 伝った事もあるし軽いペッティングも許したわ。あのまま行けば、おそらく

 姉弟の間でのセックスも拒まなかったと思う」

ここで初めて少しだけ恵美の表情が強張った。

「でも、あいつ、実は自分の彼女とのセックスに備えて、私で予行練習をして

 いただけだったの。だから、彼女と上手く行った途端に私は用済に成って放

 り出されたわ。とても悲しくて泣いたけれど、それでもタクちゃんの事が好

 きだったから、あの子の前では笑顔を見せていた。今の旦那と結婚したのも

 、弟に失恋して破れかぶれに成っていた頃の勇み足ね。まあ、嫌いじゃ無い

 けれど、別段好きと言うわけでも無かったもの」

驚いた顔をする友康に、彼女は小悪魔を思わせる笑みを見せる。

「でも、駄目ね。夫はとても良い人だけれど、やっぱり私はタクが好き。だか

 ら、昼間家に一人でいると切なくてたまらなかった。それでビデオ屋さんの

 パートに出たんだけれど、そこで私は運命の出会いをしたわ。それがあなた

 よ、友康くん」

これまで誰にもしゃべった事の無い秘密をあらいざらい語り終えた美女は、済

まなそうに目を伏せた。

「そうですか、それで合点が行きました。恵美さんのような美人に自分がもて

 るわけ無いと思っていましたからね。でも、安心したなぁ… それならば、

 いつでも僕をタクくんと思って、また遊びに来てくれますよね? 」

ようやく納得した友康が脳天気な笑顔で彼女に呼び掛ける。

「あら? いいのかしら? 私は貪欲な女よ。そんな風に親切に言われたら、本

 当にまた押し掛けて来ちゃうからね」

彼女の言葉に嘘は無かった。初めて肌を合わせて以来、美しい人妻は毎週欠かさ

ず友康のアパートに押し掛けては秘密の行為を楽しむ様に成っている。比較的に

勤務時間の自由に成るパートの立場を利用した恵美はわざわざ彼に合わせて休み

を取るように成っている。しかも、訪れたならば必ずセックスに及ぶことから童

貞だった若者は、すっかりと女体に慣れて行く。そんなある日… 

 

 

「ねえ、トモくん、ちょっと付き合って欲しいところがあるのよ」

「えっ… はい、いいですよ」

いつもは彼の部屋で逢瀬を楽しんでいた友康は、美貌の若妻の願いを深く考える

事もなく快諾する。どこに行くとも知らぬ若者を連れて恵美は繁華街へとくり出

した。

「いいんですか? こんなに高そうな場所で? 」

名の知れたホテルの最上階のステーキハウスで分厚いレアのサーロインを目の前

にして、友康は戸惑いを隠せない。

「平気平気、今日から旦那が出張で2週間ばかりいないのよ。だから、ゆっくり

 と楽しみましょう」

恵美がビデオショップのパートに出たのは経済的な理由では無く、昼間の暇な時

間を持て余しての事とは知っているが、せいぜいファミレスが贅沢な若者にとっ

て、こんな場所での食事は初めてだから、つい気が引けてステーキの味もよく分

からない。

「いっぱい食べてエネルギーを補充しておいてよ。今夜、期待しているからね」

こんな台詞をふるいつきたく成るような美女に囁かれてはたまらない。友康は彼

女の期待に応えるべく、大きな肉片をたちまち平らげた。食事を済ました二人は

繁華街の裏路地の、どことなく猥雑な雰囲気の漂う一角に足を向けた。世間知ら

ずな友康は、これまで見た事も無い雑然とした路地を物珍し気にキョロキョロを

見回しているが、そんな若者を引き摺るように恵美は一軒の店の前に辿り着く。

「あの、ここって… 」

当惑する友康に向かって人妻は妖艶な笑みを浮かべる。

「そう、大人のオモチャ屋さんよ。ほら、興味はあるけれども、ひとりじゃ中々

 入り辛い場所でしょう? でも、トモくんと一緒なら平気だもの」

見るからに猥雑な外観を持つ店の扉を開いた人妻は意気揚々と中に入ってしまう

から、こんな場所に入るのは初めての若者は慌てて彼女の後に続く。まだ夕方と

言うこともあり、幸いな事に店には他に客の姿は見当たらない。恵美のように美

しく若い女性が来店したにも関わらず、カウンターの向こう側に陣取るオヤジは

、チラっと客を見ただけで無表情のまま再び持っていたスポーツ新聞の競馬欄に

目を落す。

おそらく場所柄、繁華街の夜の蝶らの来店も珍しくは無いのであろう。店の主人

が無関心であった事に友康は内心で安堵の溜め息を漏らしている。相棒の若者の

緊張を他所に、美貌の若妻は目を輝かせてショウーウインドーの中に鎮座する各

種の淫具を眺めている。

「わぁ… ほら、見てトモくん。あれ、トモくんのと同じくらいの大きさよね?

 でも亀頭の傘の張り出しはトモくんの方が立派かしら? あら? こっちのは

 真っ黒ね。紫とピンクと黒は、どれが一番売れているのかしら? 」

男性器を象った玩具を眺めつつ、はしゃぎながら彼女は次の棚の前に足を進める

「へぇ〜、ローションにも色々とあるのね? でも私は濡れやすいから、これが

 用は無いわよね、そうでしょう? トモくん」

「はぁ、まあ、そうですよね」

かねがね興味を持ちながらも入ることが出来なかった大人のオモチャ屋に潜入を

果たした若妻は、好奇心に目を輝かせて色々な道具を観察して行く。幸いなこと

に店の主人は万事心得た様子で知らんぷりを決め込んでくれているから友康も幾

分は救われている。禁断の地への侵入を果たした美人妻は、たっぷりと時間を掛

けて物珍し気に奇妙な夜の玩具類を品定めした。屈託の無い美女のふるまいに乗

せられて、いつしか友康の方も見た事が無かった道具を面白そうに眺めて行く。

「よし、これに決めた! 」

男性器を象った淫具のひとつを手に取って恵美は意気揚々とレジに向かって歩き

出す。

「えっ? 買うのですか? 」

「あら? ひやかしじゃ、お店に悪いでしょう? それに、ほら、使ってみない

 と善し悪しなんて分からないわ」

 

 

 

 


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