その6

 

 

 

 

「ちょっと、まってくれよ、ノブちゃん」

あれから数えて3度目と成るこの日の訪問で、良隆はある決意を秘めて彼女の

家を訪れていた。彼は寄り掛かって来ていた美人妻を断腸の思いで引き剥がし

、彼女の黒目がちの綺麗な瞳を見つめる。

「話が… 話があるんだよ。頼むから聞いてくれ」

このまま彼女の目を見ていると、数日掛かりで固めた決意が水に濡れた砂糖菓

子のように崩れてしまいそうなので、良隆は自制心を振り絞って目を逸らす。

「もう、いいんだ。輝夫が作った借金の為に、俺に抱かれるような事は止めよ

 う。奴に貸した金は、別に返してもらわなくてもかまわないし。これからも

 友人として付き合いながら、必要とあれば援助もする」

この家に辿り着くまでに何度も繰り返して諳んじて来た台詞を、なるべく抑揚

を付けないようにして彼は口にする。

「なんで? 私の躯は気にいらなかったの? ねえ、ヨシくん、なにがいけな

 かったの? 」

夫が博打で作った借金のカタに友人に身を任せる屈辱感を思えば、おそらく修

子が簡単に承諾してくれるモノと思っていたから、良隆は彼女の反応に驚いて

いる。

「なっ… なんでって、借金のカタ、と言うか、お金の借りのせいで、俺に抱

 かれるなんて、哀しいだろう? ノブちゃん。君は俺等の… いや、俺の憧

 れの女だったんだ。だから君の事を気に入らないわけがない! 」

彼女が関係の解消を承諾してくれたならば、一切の未練を断ち切る為にさっさ

と部屋を後にしようと考えていた良隆であったが、修子の意外な反応に驚き、

懸命に自分の心情を語りはじめる。

「俺は、あの日からノブちゃんに夢中だよ。ノブちゃんとのセックスは最高さ

 、できれば、この関係をずっと続けて行きたいと願っている。でも君は… 

 君はどうなんだい? ノブちゃんの立場に成って考えたら、俺の我侭を押し

 通すわけには行かないだろう? 俺は、いまでもノブちゃんに未練たっぷり

 の女々しい男さ、でも、金の為に犠牲に成る君を見てはいられない」

ここ数日間、悩みに悩んだ末に辿り着いた結論であるから、良隆の言葉には、

もう迷いは無かった。

「それから、もう雅哉の事も心配しなくて良いからね。後で俺の方から彼奴に

 もしっかりと言い聞かせてやるさ。大丈夫だよ、彼奴も馬鹿じゃ無い。そり

 ゃあ未練は残るだろうけれど、もう、こんな理不尽な関係を無理に続ける事

 は無い! 」

おそらく彼にも増して修子に未練を残す雅哉への説得は困難を極める事に成る

であろう。しかし、彼とて別に家庭を持ち、しかもベンチャー企業の旗手とし

て社会的にも知られた立場であるから、いざと成れば絶対に折れて来ると、良

隆は読んでいた。ここは自分が踏み止まらなければ修子が余りにも可哀想だと

思い込み、彼は掌を握りしめて未練や後悔を心の片隅に追いやった。

「そう… でもね、ヨシくん。それじゃ、私の思いはどうしてくれるのよ? 」

「へっ? 思いって? 」

またまた意外な修子の言葉に、彼は間の抜けた顔をして応じている。

「うふふ… やっぱりヨシくんは変わらないね。真面目で純粋で、それでとび

 っきりの朴念仁だわ。昔っから大馬鹿野郎のまんま… 」

一大決心を告げた事をあっさりと躱されて、あまつさえ馬鹿呼ばわりされた事

で良隆は大混乱に陥っている。

「馬鹿って… それは無いだろう? だって… 」

「女心を分からない大馬鹿よ。いいこと、私は好きでも無い男に抱かれ続ける

 女じゃ無いし、いやな事に目を瞑る女でも無いわよ。それに、ヨシくんが思

 っているよりも、ずっとしたたかな女なんだからね」

ちょっと、待っていてね… と言い残して、彼女は立ち上がると襖を開けて隣

の部屋に消えて行く。すぐに戻って来た彼女の手には、何故か一冊のアルバム

が握られていた。

「はい、これを見て」

手渡されたアルバムも表紙を怪訝そうな顔で眺める良隆に、彼女は言葉を続け

て行く。

「その中には、私の本性がぎっしりと詰まっているのよ。内容を見て腰を抜か

 さないでちょうだいね」

彼女は良隆を見つめて話を続ける。

「実は、テルくんが借金を拵えたのは、ヨシくんやマーくんだけじゃ無かった

 の。あれは、そう1年くらい前に成るのかな? テルくんたら、フリーの雀

 荘に誘われて、そこで一晩で50万円も負けちゃったのよ。夜、家に雀荘か

 らテルくんが電話を泣きながら掛けて来て、とにかく雀荘に来てくれって呼

 び出されたわ」

友人の雅哉が想定した最悪の事態が、じつは1年も前にすでに発生していた事

に良隆はショックを受ける。

「マージャンを打った相手がマズかったの、見るからにヤクザものでさぁ、夫

 婦ふたりして、そのヤクザの家に連れ込まれちゃったのよ。それで、テルく

 んの見ている前で… あとは、分かるでしょう? お金が無いなら躯ってこ

 と。そりゃあ、最初は私も抵抗したけれど、ほら、テルくんが人質みたいな

 モノじゃない。大人しくしないとテルくんの指をつめるって脅かされて、し

 ようがなかったわ」

酷い話をしているワリには朗らかな修子の様子に違和感を覚えて、良隆は更に

混乱している。

「最初は一度だけ身を任せれば、それで終わりにするって言う約束だったけれ

 ども、そんなの大嘘よ。ヤクザの約束なんかを信じた私も馬鹿だけれど、お

 かげで、とびっきりの良い経験をさせてもらったわ。ねえ、ヨシくん、ヤク

 ザのセックスってどんな代物だか知っている? 」

美しい人妻の呼び掛けに、ヤクザの友人はいない良隆は黙って首を横に振る。

「あのね、彼奴等は魔羅1本で女をモノにして、逃げられないようにしてから

 ヒモに成ってお金を稼がせるんだよ。だから、セックスも凄いの。へんな薬

 や大人のオモチャまで使って、徹底的に女を嬲りものにするんだから」

その時の事を思い出したのであろうか? 修子はうっとりとした目で、どこか

遠くを漠然と眺めている。

「私はテルくんに女にされたけれど、あのヤクザの山岡には自分が牝だって事

 を思い知らされちゃった。かなりきわどい経験だったけれども、いま思い返

 せば、あのヤクザは恩人かも知れないわ。もしも、彼奴に犯られていなかっ

 たら、私は何も知らない女のままで年老いてしまって、けして牝の悦びを知

 る事もなく、漫然と生きて行ってでしょうからね」

彼女の赤裸々な告白に驚いて、良隆は言葉を挟む事も出来ない。

「彼奴の魔羅はね、ヨシくん程には大きく無かったけれど、テルくんのよりは

 ずっと立派だったわ。私、あの時までテルくんのオ◯ンチンしか知らなかっ

 たから、最初に突っ込まれた時には、凄く吃驚したわよ。あんなに奥まで入

 れられて、オマ◯コが壊れるって、ほんとうに恐ろしくて泣叫んだものだわ

 。でもね… たぶんへんなお薬、媚薬って言うのかな? それを使われてい

 たせいで、すぐに痛みよりも気持ちよさが勝るの様になったの」

彼女は媚びる様な笑みを浮かべて良隆の目を覗き込む。

 

 

 

 


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