先生と生徒
その1

 

 

 

 

聡は両手で抱えた多くの書類の落さぬ様に気を付けながら、しんどそうに階段

を上がって行く。書類を抱えた手に持っている鍵束がチャラチャラと耳障りな

音を放課後の階段フロアに響かせているが、両手にずっしりと重い荷物が鬱陶

しくて、そんな音の事などはかまってはいられない。西岡聡は何処にでもいる

ような平凡で目立つ事の無い高校生だ。勉学もソコソコ、運動神経の方も人並

み外れて鈍くも無ければ、体育の時間にスーパーヒーローに成る事も無い、何

ごとに付けても傑出したものは見当たらぬ十人並みの高校2年生である。

このまま平凡な日常に埋もれては成らじと、彼にしては蛮勇をふるい立候補し

て、その座を射止めた生徒会の書記の地位であったが、内情は態の良い小間使

いであり、今日も今日とて他の役員から雑用を押し付けられた挙げ句に、こう

して西校舎の4階にある倉庫へ、不要になった昨年の生徒会報の束を持って行

く羽目に陥っている。

主に平常授業で使われる新校舎とは違い、科学の実験室や音楽室、それに旧式

化した視聴覚室、さらに何故か学校の歴史展示室などが存在する西校舎だけに

、放課後には人の気配はまったく途絶えて寂しい限りだ。校庭からも少し離れ

た場所だからこそ、運動部の威勢の良いかけ声なども聞こえないカビ臭い古い

階段を額に汗して昇って行けば、いったい自分は何の為に生徒会役員などに立

候補してしまったのか? と、愚痴のひとつも零さずにはいられない寂しい気

分が胸いっぱいに広がっている。

しかも、ひとの良い所を見透かされている聡は、こうして皆が嫌がる雑務を押

し付けられる事が実に多い。それでも断り切れないあたりが、この平凡の少年

の長所でもあり欠点でもあろう。夕暮れ迫る放課後の、しかも余り使われる事

の無い校舎の階段を、そう言った理由で彼はトボトボと歩いて昇っていた。

「ふぅ… もう少しだ」

ようやく目当ての4階へと辿り着いた少年は、静かな階段の踊り場でひとやす

みしたい誘惑に駆られたが、いったん降ろしてしまうと再び持ち上げるのが億

劫に成るであろう重たい書類を思い、そのまま廊下を奥へと進む決意を下す。

すでに腕は痺れる程に疲労していて、聡の判断を恨む様に小さく震えているが

、それでも彼は何とか目的地である過去には教室として使われていた倉庫に辿

り着いた。幸いな事に廊下の突き当たりには、昔の生徒用の机が煩雑に放置さ

れているので、彼はうっすらと埃の積もった机の上に、託された書類の束を投

げ出す様に置く。

「はぁ〜 まったく、こんな仕事ばかりだものなぁ… 嫌に成るよ。あれ?

 へんだなぁ? 」

今では倉庫として使われている事から入り口には南京錠が掛けてあるはずの教

室なのに、何故か今日に限って鍵が見当たらない。せっかく生徒会室から持っ

て来た鍵束が無駄に成ったけれども、その時の聡は深く考える事も無く、釈然

としない思いを胸に抱きながら、再び書類の束を持ち上げて部屋の中に足を踏

み入れた。

過去には音楽室として使用されていた部屋だが、新校舎に設備がより整った教

室が用意された事から、机や教壇類は撤去され、かわりに味気ないスチール製

の棚が幾つか持ち込まれていて、中は雑然と書類のたぐいが並べて置かれてい

る。過去に数回、ここを訪ねて来た事がある少年は、迷う事もなく生徒会にあ

てがわれた棚に歩み寄り、ようやく忌々しい書類の束を空いているスペースに

乗せた。

「ふぅ… これでOKだ、えっ? なんだ? 」

誰もいないはずの放課後の倉庫で、一仕事を終えて安堵のため息を吐いたのも

束の間、少年は部屋の奥から聞こえた物音に驚き、息を顰めて耳をすませる。

『まったく、たまらないぜ。なあ、小竹? 』

『おう、最高さ。クラスの女連中なんぞ、目じゃ無いな』

明らかに誰かが会話している声を聞いて、聡はその場に立ちすくむ。しかし、

本来であれば慌てて逃げ出したであろう臆病な少年が、まだ室内に残っている

理由は、会話とは別に聞こえるか細い悲鳴にある。童貞の聡にとっても、明ら

かに会話に混じり聞こえる声は、女性のあられもない嬌声に思えたのだ。

(こっ… こんなところで、いったい誰が? )

やっかい事であるのは百も承知の少年であったが、やはり聞こえてくる女の悲

鳴、しかも、明らかに媚びた様な嬌声を耳にしては、黙ってこの場を立ち去る

事は難しい。結局好奇心に負けた聡は、なるべく足音を立てぬ様に気を付けな

がら、そっと部屋の奥へと進んで行く。

(えっと、こっちは確か、そうだ、昔の音楽準備室だったよな)

今は倉庫として使われる音楽室に隣接する小部屋は、昔は吹奏楽部の楽器類等

がしまわれていた準備室である事を思い出した少年は、複数のひとの気配がす

る隣室へと忍び足で迫って行く。ようやくドアまで辿り着いた少年は、隙間か

らそっと中の様子を窺った。

(えっ! あれは… でも、そんな、柳田センセイだ! )

まさか自分が出歯亀と成ろうとは思ってもいなかった聡は、余りにも衝撃的な

光景を覗き見て、その場で呆然と立ち竦む。収納されていた楽器類が全部撤去

されて久しい室内には、なぜか分厚いマットが1枚敷かれていて、そこに全裸

で四つん這いに成っているのは、明らかに彼に英語を教えてくれている柳田麻

子に他成らない。

確か今年で三十路の美人英語教師は3年前に結婚したものの、今でも男子生徒

の中に多くのファンを持っている。かく言う聡もその一人で、級友の女子に比

べて落ち着いた大人の魅力に溢れる麻子には、憧れをもって接している。彼等

のクラスの担任である国語教師の吉岡真里子とは、この高校の男子生徒の人気

を二分する美貌を誇る麻子が、まさかこんな場所で全裸を曝しているとは? 

実際目撃しながらも、聡にはどうにも信じられない。

(ゆめ… じゃ無いよね。でも、まさか、どうして? )

麻子がひとりきりであっても驚異的な光景なのに、彼女の尻には男がしっかり

と取り付いて、いそがしく腰を打ち付けているではないか! しかも、それだ

けでは無い、別の男が麻子の前に回り、その唇をも犯している。つまり美貌の

英語教師は、放課後の学校で全裸を曝した上で四つん這いに成り、2人の男と

のセックスに興じているのだ。それだけでも腰が抜けてしまいそうなショック

だが、さらに聡を驚かせるのは、尻に取り付く男が、この学校の男子生徒であ

ると言う事実だった。

(こっ… 小竹くん? 小竹くんだ! )

同じクラスで勉学に勤しみ机を並べる小竹が、まさか美しい英語教師を犯して

いるとは、この目で見ても何かの間違いではないか? と、少年は自問する。

冗談では無く、彼は自分の頬を抓ってみた。

(痛い… 痛いや、でも痛いって事は、やっぱり夢じゃ無いんだな? )

目前の思わぬ光景を訝り、思わず抓る力を入れすぎた事からズキズキと疼く頬

を摩りながら、もう聡の目は扉の隙間から離れられない。これが何か強姦を感

じさせる向きがあれば、少年は蛮勇を振るって室内に飛び込むか? あるいは

身を翻して職員室に駆け込み教職員に助けを求めていたであろう。だが、部屋

の中で全裸を曝す英語教師の有り様は、けして無理に犯されている様には見え

ないのだ。小竹の突き上げに合わせて淫らに尻をふる美人教師は、同時にもう

ひとりの誰かの股間の顔を埋めて、熱心にフェラチオに興じている様に見える

 

 

 

 


次に進む

 

目次に戻る


動画 アダルト動画 ライブチャット