「お帰りなさい、良文クン」 自宅玄関の扉を開ける為にポケットから鍵を取り出したところで、いきなり隣室のドア が開き真弓子が微笑みながら声を掛けて来た。 「あっ、えっと… ただいまです、真弓子さん」 隣家で暮らす憧れの美人妻の不意の出迎えの言葉に、良文は心の底から驚きその場に固 った。串本良文は14才、今年の春に中学の2年生に無事に進級を果たしている。本人 に余り自覚はないのだが頭の回転は良い方なので、地元の公立中学では無く電車で10 分程度離れた小・中・高校一貫教育の私学に通っていた。
兄弟は無く両親と三人で、このマンションで暮らしていた。父親は地方公務員だったか ら、彼の学費やマンションの部屋のローンなどの経済的な負担は大きく、家計を助ける 為に母親もフルタイムに近い時間をパートに出ていた。だから帰宅の際にだれかから『 おかえりなさい』と声を掛けられる事に慣れていない少年は、それが仄かに恋心を抱く 隣家の美貌の主婦からの声掛かりだった事もあり、嬉しい不意打ちに戸惑いを隠せない。
「ねえ、良文クン、今日は忙しいかなぁ? 」 「えっ? 今日ですか? そんなことありません、ゼンゼン暇です」 世程の不祥事や成績不振で無い限り高校まではエスカレーター方式で進級が保障されて いることから、少年は塾通いはしていない。もっとも、地元でも有数の進学校で、クラ スでも2番手に下る事が無い優秀な成績の良文だから塾へ通う必然性を強く感じてはい なかった。 しかし、地元から少し離れた私立の中学に進学した事で、同じ小学校を卒業した地元の 友達とも徐々に疎遠に成り、声を掛けて遊びに行くことも無いので、帰宅後の彼は与え られた自室に隠り図書館から借りて来た本を読むか、あるいは勉強するかのどちらかな のだ。だから忙しいか? と言う真弓子の問い掛けに対して少年は間髪入れずに違うと 返答した。
「それは好都合だわ、頂き物のクッキーがあるのよ。ちょっと相談に乗ってもらいたい 事もあるから、ウチにお茶しに来ない? 」 「はい、それじゃ着替えたらすぐに伺います」 「うん、待っているわ」 にっこり笑って扉の向こうに消えた美人妻の残り香を貪る様に肺いっぱいに吸い込むと 、彼も自宅のドアを開き急いで中に飛び込んだ。短い廊下すらもどかしく思いながら少 年は自分の部屋に辿り着くと、学校の制服である濃紺のブレザーを脱ぎ捨てた。
(なんだろう? なんの相談なのなか? ) さっさとズボンも脱ぎ、クロゼットの扉を開けて一番のよそ行きのシャツとコットンパ ンツを探し出した少年は、そこで少し冷静さを取り戻して人妻の誘いの意味を模索した。
(まさか、アレがバレたって事、無いよねぇ。バレるわけ無いもの) 唯一心に引っ掛かる事柄を思い出すと、良文の着替えの手が止まる。あれは2ヶ月ほど 前の事だった。母親も仕事に出ている事から、自分の衣類や下着は自分で洗濯する習慣 が身についている少年は、あの時も何の邪念も無く全自動の洗濯機を回していた。ピー ピーと耳障りな洗濯終了のチャイムに読書を邪魔された良文は、読みかけの海外モノの 推理小説の翻訳本をリビングのテーブルの伏せると立ち上がり、脱水の終わった洗濯モ ノを持ってベランダに出た。手慣れた様子で洗濯物を干しているうちに、彼は人工芝が 敷き詰められたベランダの床に黒い小さな布きれが落ちている事に気付く。
(あれ? 黒の靴下なんて、洗濯したっけ? ) 自分が今、洗濯したものを落としたと疑わぬ少年は身を屈めて足元の布に手を延ばす。 (えっ? 乾いている? うわぁ、なんだ、コレ? ) 乾燥機能付の洗濯機では無いから洗濯直後に乾き切ることはおかしい、少年は足元から 取り上げた黒い布の正体を見極める為に持ち上げて目の前に翳す。 (これって、パンツだ。女の人のパンツだ) ほんの一瞬だけ、母親の下着が混ざっていたのに気付かずに洗濯してしまったのかと思 ったが、やぼったいオバサン下着とは趣きが大きく異なる黒のショーツを、まさかあの 母親が身につけるとも思えないと、彼は最初の推察をすぐに脳味噌の中のゴミ箱に放り 込む。
(母さんのじゃ無いとすると、これは… ) 希望する答えを導き出す為に、濡れた洗濯物を干す作業を中断して彼はベランダで状況 の検証を行う。 (もちろん、これが母さんのじゃ無いのは明らかだ。次に真上の坂下さんの家は若い娘 さんも結婚して家を出ているから、残っているあのオバチャンがまさかこんなエッチな 下着を身に付けるとも思えない。僕の家は西側の角部屋で左隣に部屋は無い。と、言う 事は、この下着は右隣の真弓子さんの家から飛んで来た可能性が大だ! )
たよりない黒の布きれだから、強風に煽られた洗濯物が2〜3軒先の部屋、もしくはも っと上層階から飛ばされて来た可能性もありはするが、この時の少年は思わぬ拾得物に 有頂天に成り敢えて他の可能性には目を瞑り、このショーツの持ち主が隣家の美貌の主 婦であると決めつけた。せっかく手にした宝物を単パンのポケットにねじ込むと、彼は 自分の破廉恥な行為の目撃者がいないかどうか、せわしなく左右に首を振り視線を方々 に走らせた。幸いな殊に視界の中には恥知らずな行為への目撃者の姿は見当たら無い。 残っていた洗濯物を大急ぎで干し終えると、彼は興奮のあまり煩い程に高鳴る鼓動を持 て余しつつ自分の部屋に飛び込んだ。
(これが、真弓子さんのパンツ… ) 両親が留守なのを良い事に、彼は急いでズボンとブリーフを脱ぎ捨ててベッドに横たわ る。奥手の少年はようやく最近になって自慰を知ったのだが、本能的な後ろめたさに苛 まれてオナニーはもっぱら両親も寝静まった深夜のお楽しみに成っていた。しかし、偶 然からとんでもなく美味な獲物を手にいれてしまった良文に、夜まで待つ忍耐力は無い 。時々、なにかの拍子で目にする母親のオバサンパンツとは異なり、これで役目を果た せるのか疑問に思うほどに布の量が少なく、しかもレースの飾り付けも艶かしいショー ツを手にして、良文の興奮は極限近くにまで膨らんでいる。
(真弓子さんのアソコに、ココが触れていたんだな) 股布の薄く頼り無い感触をしみじみと楽しみながら、少年は真弓子の全裸姿を妄想する 。これまでは悪友から借りた雑誌の扇情的なグラビヤアイドルの肢体や、父親が稀に持 ち帰る週刊誌のヌード写真に真弓子の顔を脳内変換してオナニーのネタにしていた良文 だが、そこに加えて彼女の股間を被っていた黒のショーツまでもゲットした事で、目が 眩むような興奮が抑え切れず、心の片隅で悪いとは思いながら少年はショーツの股布の 所に自分の鼻を押し付けた。
(す〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ… ) 思いっきり深呼吸しても、彼の鼻孔をくすぐるのは洗剤の香りだけだ。しかし、この黒 い布が美貌の若妻のシークレット・ゾーンに接していたと思うだけで、洗剤の香りすら 特別の思えるほど良文は逆上せていた。あの日、真っ昼間にも関わらず少年の熱狂はと どまるところを知らず、素晴らしい獲物を得た良文は立て続けに精を3度も放つまで自 慰に没頭していた。
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