「ふぅぅぅ… 」 小さいが深い溜息が、少年の懸命の努力を物語る。少年が自制心を総動員して何と か危機を脱した事を察した美貌の若妻は、にっこりと微笑んだ後で再び口での愛撫 に取りかかった。生意気にも青筋を浮かべた男根の脇に舌を這わせたり、そのまま 亀頭まで舌を滑らせて先端から滲み出る我慢汁を舐め回すテクニックは、せっかく 全力で我慢して射精を先送りにした良文の努力を嘲笑う。
こうなると、甘美なフェラチオも拷問とそんなに変わらない。淡い慕情を寄せた美 貌の人妻にむかって、いきなり精を噴き出すような不作法だけは避けたい少年は、 生まれて初めて味わう快美により強烈な目眩に何度も襲われた。そのつど急激に盛 り上がる気持ちを抑えるのが苦しいが、今の彼は強い刺激に幻惑されて思考力が衰 えているから崩壊を防ぐ事が唯一の責務に感じられていた。 「そうそう、もうちょっとだけ我慢しなさいね。その方が絶対に気持ちイイんだか ら」
睫を揺らし目をきつく閉じることで迫りくる快楽の奔流を堪える少年の健気さがお かしくて、じらす様な愛撫を繰り返す真弓子の加虐心を巧みにくすぐっている。下 唇を前歯できつく噛み締めながら、それでも懸命に耐える良文の男根は、ふたたび 若妻の柔らかな喉咽粘膜に包まれた。もう憧れの人妻のフェラチオを堪能する余裕 など、良文には少しも残されてはいない。我慢しろと命令しておきながら、唇を窄 めて亀頭を包み込み、執拗に鈴口を舌先で舐る若妻の愛技の前では、彼はただ下っ 腹に力を込めて押し寄せる射精の欲求を何とか先延ばしにするしか手立てが無かっ た。
(出したい、もう我慢できないよ、でも、まだ、まだ駄目なんだ。真弓子さんが良 いって言うまで… でも、でも、でも、もう… ぐぅぅぅぅ… ) 自我の崩壊寸前まで追い詰められながら、それでも良文は何度も砕けた気力の欠片 を掻き集めて奥歯をくいしばる。そんな少年の努力など無視して、美貌の若妻は口 に含んだ男根を舌を使って舐りつつ、右手では垂れ下がった彼の皺袋にまで愛撫を 加えていた。 (うふふ、可愛いからって、少し苛めすぎちゃったかしら? )
ちらりと上を見れば、顔を真っ赤にした良文がギュっと目を瞑り、苦悶の表情をう かべて必至に射精を堪えている。彼女の命令に忠実に従う若い獲物の態度に満足し た若妻は、多少悪ノリが過ぎた事を素直に反省した。 「よく頑張ったわね、もうそろそろ、イッてもいいわよ。ほら、全部飲んであげる から」 一旦男根から口を離して卑猥な許可を与えた後に、真弓子は再び少年の一物を口に 含んだ。今度は一刻も早い射精を促す為に、彼女は口にした男根を強烈に吸い上 げた。
「あうぅぅ… 真弓子さん! ごめんなさいぃぃぃ… 」 憧れの隣家の美人妻の唇を汚す罪悪感に苛まれながら、遂に良文は崩壊の時を迎え てしまった。出口を見い出した愉悦の奔流は、もう誰にも止める事など不可能だ。 若い子種の噴射を妖しい愛撫で促して来た美人妻は、その宣言通りに口でしっかり と受け止めて、そのまま咽を鳴らして嚥下して見せた。 「ああ美味しい、一番絞り、ごちそうさま」 洒落た真弓子の冗談だが、少年は愛想笑いすら浮かべる事が出来ない。ギリギリま で我慢した後に精を放った反動で、今の良文はすっかり腑抜けに成っていた。
「よし、今日もここで友人と別れたな」 学校を出てから目標に悟られぬように尾行を続けてきた良文は、対象者が友人と別 れてひとりになったのを切っ掛けに追尾する速度を速めた。 「和田健二くん、ちょっといいかな? 」 ここ数日の努力を実らせる重要な場面だと認識しつつ、良文はランドセルを背負っ た学校の後輩を呼び止めた。隣家の美貌の若妻から、とんでもなく甘美な報酬の前 渡しを受け取った少年は、さっそく次の日から独自の調査に乗り出した。幸いなこ とに校舎の配置上、購買部には初等部の建物の廊下を通って出かけるのが一番の早 道な事から、中等部の生徒が初等部の教室の前をうろついても、目立ったり違和感 があったりする事は無い。
若妻のひとり息子の一樹のクラスは分かっていたから、良文は2日を費やして昼休 みと放課後に探偵の真似事を行った。それで彼は美貌の人妻の危惧が適中していた 事を確かめた。明らかに数人の少年達が、よってたかって一樹の事を虐めている。 根暗な隣家のひとり息子は、苛めっ子たちに言い掛かりを付けられて蹴られたり頭 をハタかれたりしているが、じっと耐えるばかりだ。一樹を虐める少年達のリーダ ーの名前が和田健二と言う事を確認した後に、彼は調査開始後の3日目の放課後に 苛めの首謀者の後を尾行して、ひとりになったのを見計らい声を掛けている。
「和田くん、和田健二くん、ちょっといいかな? 」 「あんた、誰? 」 声を掛けたのが見知らぬ大人であれば、おそらく少年は学校の指示にしたがい無視 するか逃げ出していただろう。しかし、呼び止めたのが同じ学校の中等部の制服を 着込んだ良文だった事から、苛めっ子のリーダーは怪訝そうな顔をして自分の事を フルネームで読んだ先輩を睨んだ。 「僕の名前は串本良文。制服を見てくれれば分かると思うけれど、健二クンと同じ 学校の中等部2年生の生徒だよ。実は僕は生徒会の役員で、いじめ撲滅委員会の 委員をしているのさ」
学校の先輩からいきなり呼び止められて、その上、苛めに関する問題を話題にされ た苛めっ子は、目に見えて動揺している。 「いじめ撲滅委員会の調査で君が同じクラスの梅島一樹くんを仲間と一緒に虐めて いる事が判明したんだ。そして、苛めグループのリーダーが君な事も分かってい る」 「俺、別に苛めなんてしてないぜ。一樹とはふざけて戯れ合っているだけさ」 後ろぐらい気持ちがあるから、小学生の苛めっ子は視線を泳がせながら嘘をつく。 「しらばっくれても駄目だよ。委員会が調査したって言っただろう? 僕らの仲間 は君が梅島くんを虐めている現場の証拠をバッチリと押さえているんだ」
そもそも中等部の生徒会には、いじめ撲滅委員会なんて存在しないが、ズル賢い小 学生の苛めっ子を脅かす為に、良文はあくまで生徒会活動の一環だと主張して毅然 とした態度を崩さない。 「もしも君が素直に事実を認めないなら、今度は君のクラスの先生に報告するよ。 それから、君が下らない苛めを行っている事を、ご両親にも報告して注意しなけ れば成らない」 軽い気持ちでクラスメイトの根暗な一樹を虐めていた少年は、事が大袈裟に成り担 任の教師や両親に悪行がバレると脅されて青く成る。 「そんなの、嫌だ」 頑張ってみても、所詮は両親の叱責が恐い小学3年生に過ぎない苛めっ子が困るの を、少しの間眺めていた良文は、十分に脅しが利いた事を確かめてから言葉を続け た。
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