その11

 

 

 

純白なバスローブ姿の美人妻に招かれて、不良少年は面くらっている。しかも親友

から、多分中身は裸だろうと聞かされては、卓也の鼻息は荒ぶるばかりだ。喫茶店

で親友から、人妻の美しさについて説明を受けてはいたが、実際に対面を果たして

みれば、良文の大袈裟にも思えた賛美の台詞が、実はオーバーでも何でも無く、そ

れどころか足りていなかったのでは無いかとすら思えて成らない。

「ヨシフミくんから、事情は聞いているわよね? えっと… 」

緊張しきった新参者の少年を見つめて、真弓子は魅力的な笑みを浮かべた。想像以

上に美しい若妻に圧倒されて、不良少年の舌は凍り付いたのか? 口をパクパクさ

せるばかりで言葉が出て来ない。親友の窮地を見兼ねて良文が横から割り込んだ。

 

「あの、和田卓也くんです」

「そうそう、タクヤくんだったわ」

少年から新たに桃色遊戯に参加する卓也を紹介された若妻は、顔を真っ赤にしなが

ら立ち竦む大柄な不良少年の手を握った。

「つまらない話は後回しにしましょう。さあ、こっちにいらっしゃいな」

美貌の人妻に手を取られて寝室へと誘われた卓也は、心配そうに親友の顔を振り向

いた。

「そこの奥の部屋だよ。大丈夫さ、僕も一緒に行くから」

自分の初めての時の緊張感を思い出した良文は親友を安心させる為に微笑み、3人

は相次いでベッドルームに足を踏み入れた。どうしたものかと棒立ちな童貞の不良

少年の前で真弓子がいきなりバスローブを脱ぎ捨てる。良文の予想通り、美しい若

妻はバスローブの下には何も身に付けていなかった。

 

(うわ、真弓子さん、ノリノリだ… )

一緒にいる良文の目を意識して、彼にむかってウインクしてから美貌の若妻は驚き

を露にした卓也の元に歩み寄る。

「ねえ、タクヤくん、キスしたこと、ある? 」

「いいえ、ないです! 」

生まれて初めて若妻の瑞々しい全裸姿を目の当たりにした大柄な不良少年は、まる

で金縛りにだもあったように身じろぎひとつ出来ずにいる。

「うふふ、それじゃ、タクヤくんのファーストキス、いただいちゃうわ」

 

裸のまま卓也に抱き着いた美しい人妻は、彼の首筋に両手を回して、頭ひとつ分く

らい長身の少年の顔を自分に向かって引き寄せた。瞳を閉じて、幾分美貌を傾ける

美人妻の唇が童貞不良少年の唇に重なる光景を、良文は感慨を抱きつつ眺めていた

。自分の初めてのキスの時の様子などは興奮の余りに記憶が飛んでしまっている。

 

だが、今こうして同じ年の親友が身を強張らせてファーストキスに臨んでいる状況

を見れば、だぶん自分も大差なかっただろうと想像が付く。瞼を閉じて恍惚とした

雰囲気を醸し出す美人妻にくらべると、卓也の方は目を見開いたまま凝然と口付け

に臨んでいる。やがて真弓子はゆっくりと瞳を開き、少年の唇を解放した。

「さあ、2人とも、脱いでちょうだい。私ひとりだけが裸なんて、はずかしいじゃ

 ない!」

初めてのキスに舞い上がる卓也は、女王様の命令に従う家来のごとくに着衣を毟り

取る様に脱ぎ捨てた。ひとりだけ知らんぷりも出来ないので、良文も苦笑いしなが

ら制服を脱いで行く。2人の少年が全裸に成るのを待って、真弓子はベッドに歩み

寄る。

 

「はい、タクヤくんはここに来て」

ベッドの真ん中で横に成った美貌の若妻は傍らを指差して童貞不良少年を招いた。

「ヨシフミくんは、ちょっと待っていてね。さあ、タクヤくん、そこに寝てちょう

 だい」

命令に従い枕元によじ昇り膝を付いた少年の股間に、真弓子は何の躊躇いも見せず

に手を差し伸べる。

 

「あふ… 」

半身を起こした美女の手で雄根を握られた卓也は、情けない声を漏らす。童貞喪失

レースでは完全に遅れをとったが、親友の良文に対する面子から、なるべく平静を

装うつもりでいた不良少年の目論見は早くも崩れかけていた。一方、真弓子の方も

、すでに愛人と化して何度も肌を合わせて来た少年の目を意識して、まるで挑発す

る様に新しい獲物を弄ぶ。上体を起こした美人妻は、豊かな胸をピッタリと卓也に

押し付けて興奮を煽りつつ、今度は本格的なキスを仕掛けて行く。再び童貞少年の

唇を奪った美貌の若妻の舌が、問答無用で卓也の口に中へと差し伸べられた。

 

「むぐぅ… 」

驚きの余りにうめき声を漏らした親友を、良文は嬉しそうに眺めている。

(そうそう、あれっていきなりだから、すごく吃驚するんだよね)

若妻とのキスにも慣れた優等生は、目を白黒させる親友の困惑を正確に洞察する。

ねっとりと舌を絡める濃密なキスに驚く不良少年の股間は、美しい人妻の指での刺

激に天を突く勢いを見せている。

(それにしてもデカいなぁ… こんなにデカいとは思わなかった)

別に見下していたわけでも無いが、男の尊厳に関わる性器のサイズで負けた良文は

、奇妙な劣等感に苛まれる。

 

(でも、あのサイズならば強い武器になるから、やっぱり和田くんを巻き込んだの

 は正解だ)

人妻から性行為における主導権を奪取して崩壊させる事を目指す少年は、援軍が頼

もしい持ち物を振り翳して活躍してくれる事を密かに期待した。暫くの間、童貞少

年との熱いくちづけを堪能した美人妻は、ようやく卓也の唇を解放すると、こんど

は少年の胸板の上に細くたおやかな指を這わせつつ、首筋や瞼、それに耳もとにも

啄む様なキスの雨を降らせて行く。

(ああ、あれって、けっこう感じるんだよな。大丈夫かな和田くん)

 

良文の存在を意識しての事なのか? 今日の真弓子の愛撫はいつもよりも熱が隠っ

ている。首筋を舌先が伝い降りた後に、彼女は少年の乳首に吸い付いた。

「あっ… 」

彼の股間を一旦は解放した右手が今度は唇で隠されていない、もうひとつの方の乳

首を指先で摘まみ上げている。初めて異性から両方の乳首を同時に責められた卓也

は、筋肉質な裸体を何度か小さく震わせた。

「うふふ、感じ易い子ね。おっぱいを舐められて、声を漏らすなんて。まるで女の

 子みたい」

 

右手を使い敏感な乳首を捻る様に摘みながら、美貌の若妻は童貞少年を追い詰めて

行く。そんな不良少年の体たらくを眺める良文の胸中では不安の暗雲が垂れ込めた。

(マズイいなぁ、まさか和田くん、このまま真弓子さんの虜になったりしないよね

 ? 真弓子さんに骨抜きにされちゃったら、人妻凌辱計画は実行が難しくなって

 しまうよ)

自分が童貞を捨てた時のだらしなさを棚に上げて、良文は不安そうな面持ちで目の

前で繰り広げられる桃色遊戯に行く末を見守る。少年の不安など知る由も無い若妻

は、十分に卓也を刺激し終えると、いよいよ半身を起こして不良少年の下腹部に手

を延ばし雄物に指を絡めた。同時に彼女は壁際に下がり悶々としていた傍観者の方

を振り返る。

 

 

 


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