愛しいお舅さま 前編 その1

 

 

 

田崎佐和子は庭で洗濯物を干す手を少し休めて良く晴れた青空を見上げた。

「ドバイの空って、どんな色なのかなぁ? 」

石油採掘のプラント建設の仕事に携わる夫の武彦が、地球の反対側と言っても過言

では無いアラブ首長国連邦に赴任してから3ヶ月が過ぎようとしていた。結婚前か

ら仕事柄、ひょっとすると長期間の海外赴任もありえると聞いていたので、それな

りに覚悟を決めていたが、華飾の宴から1年と少々の後に、まさか3年にも及ぶ単

身赴任が待っているとは、さすがに佐和子も思ってはいなかった。

 

籍は入っているのだから、一緒に行くと言う選択肢もあったのだが、夫と異なり英

語を含む海外の言葉がまったく駄目な彼女だから、中東の地に住居を構えるは抵抗

もあったし、なによりも現地の治安が心配な夫から、強く日本残留を望まれた事も

あり、今は年に2週間ほど与えられる約束の有給休暇での帰国を指折り数えて待つ

ばかりだ。

 

夫を海外に送りだしているからと言って、佐和子が自由気侭に振る舞えるわけでは

無い。なぜならば、これまた夫の強い願いから、彼女は夫の父親と同居しているの

だ。田崎武彦の父親の武市は御年60才、姑は彼女と武彦の結婚の前に無くなって

いて、以降後添えを娶る事も無くひとり身を貫いていた。田崎家は、この地方でも

有数な資産家で本家の屋敷は古いが堂々とした門構えの邸宅なのだ。

 

ひとりっ子の武彦だから、将来的には舅との同居も覚悟はしていたが、まさか、こ

んなにも早くにひとつ屋根の下で暮らす事になるとは佐和子は考えていなかった。

しかし、海外への単身赴任が決まった時に夫は、彼女が東京を離れて武彦の実家に

引っ越す事を強く願ったのだ。

 

「なにかあったときに、僕は日本にいないから君を助けることが出来ない。君の御

 両親も既に鬼籍だし… だから、たのむ。親父の元に行ってくれ。お願いだ」

夫の言った通り既に実の両親は数年前に相次いで病気で他界していたので、佐和子

には断る理由は無かった。

 

夫の武彦の面影がある舅に対する印象は、ひとことで言えば剽軽で、佐和子は深く

悩む事も無く同居に同意して東京を離れている。夫の田舎が新幹線と在来線を乗り

継げば首都圏まで2時間も掛からぬ近場だった事も、彼女が抵抗なく同居に踏み切

った要因だった。舅が亡くなり、ひとり息子も早々に独立した結果、やもめ暮らし

の長かった武市はまったく手間の掛からぬ舅で、彼女の料理は何でも美味しそうに

平げ、同居していても生活に無用に干渉する事も無く、この3ヶ月の間、佐和子が

不満に思う事柄は何も無かった。

 

多少大変なのは田舎と言う事もあり館の敷地が広く、特に平家ながらも和洋合わせ

て15部屋もある屋敷の掃除は若い佐和子にとっても骨の折れるひと仕事だった。

ただ、まだ子供に恵まれていない事もあり時間だけは豊富だった事から、2〜3日

に一度、洗濯機を回しながら一斉に窓と言う窓を開け放ち、最後まで吸引力の代わ

らぬ唯一の掃除機の轟音に辟易としながら、彼女は掃除に勤しんでいた。

 

義理の父親の武市は本当に手の掛からぬ舅であり、毎日、ほぼ時間通りに朝食を済

ませると、今日は囲碁の会、明日は句会、明後日はゲートボールの練習と、日中は

佐和子に留守番を任せてほとんど毎日出掛けてくれた。亭主も舅も元気で留守にし

てくれるから佐和子も気楽に義理の父親との同居生活を楽しんでいた。それに食事

の世話や洗濯などは彼女に任せる舅だが、自分が使っている部屋の掃除は自分で行

なうし、毎週日曜日は家事の休息日と決めてくれて、夕飯に寿司を奢ってくれたり

地元の和食料亭に誘ったりと、何かと気を使ってくれるのだ。

 

惚れた旦那の父親と言う事で、すっかりとガードが下がっていた佐和子だった。洗

濯物を干し終えた彼女は自室に戻ると簡単に化粧を整え着替えを済ませる。今日は

駅ビルの専門店街がバーゲンなのだ。上品とは言えないが微妙に購買意欲をそそる

ダイレクト・メールに引かれて駅ビルに出かける事は、昨晩のうちに舅には伝えて

ある。

 

「ゆっくりと買い物を楽しんでおいで、そう言うことならば、今夜の夕食は爺仲間

 を誘っていつもの料亭で楽しむ事にするよ」

物わかりの良い義理の父親の応えに励まされて、彼女はバーゲンへの出陣のしたく

を整えた。結婚前のクリスマスプレゼントに夫から貰ったブランド物のハンドバッ

クを手にした佐和子は、長い廊下をあるいて舅の自室の前に辿り着く。

「お義父さま? 佐和子です。ちょっと駅ビルまで出掛けて来ますね」

襖越しの彼女の呼び掛けに、中からすぐに反応があった。

 

「はいはい、いってらっしゃい。ほんとうにゆっくりと楽しんでおいで」

「はい、いってきます」

出掛けの挨拶を終えた佐和子は屋敷の車庫へと向かい、日頃の足に使っている赤の

ワーゲンに乗り込む。

「さあ! 行くわよ佐和子! 気合いを入れなさい」

これと言った目当ては無いが、久々にバーゲン会場に駆け付ける佐和子のテンショ

ンは上がりつつあった。

 

 

 

「まったく、もう、こんなに早くにDMを寄越すな! ふぇ〜〜ん」

駅ビルの駐車場を出た佐和子は憮然とした顔でフロントガラスの向うを睨む。チラ

シをバックに忍ばせて勇躍乗り込んだ駅ビルだが、なぜか各店のディスプレイは通

常と変わらず客の影も疎らで、とても半期に一度の大売り出しとは思えぬ状況だっ

たのだ。不可思議に思い総合受け付けの案内嬢に聞いたところ… 

 

「申し訳ございません、お客様、あの… 感謝祭バーゲンは来週の週末からの開催

 と成っております」

との予想外の言葉を聞いた佐和子は朗らかに微笑み御礼を言い、そのまま優雅な足

取りでその場を去り、案内所から見えない所まで辿り着くと慌ててバッグを開けて

DMの封筒を取り出した。

 

「ほんと〜〜だ! 来週じゃない! 」

チラシの中身にだけ目が行って肝心の開催日の確認を怠った佐和子は、己の迂闊さ

による勇み足が悔しくて、結局駅ビルの何処の店にも寄らずに帰路に付いたのだ。

「あ〜あ、せっかく出掛けたのだから、来週にそなえてバーゲンの下見でもしてく

 ればよかったかなぁ? 」

恥ずかしい勇み足が悔しくて頭に血が上り、駐車場に戻り車に乗り込み家路に付い

たところで、ようやく正常な判断力を取り戻した佐和子だが、ここから再び駅ビル

に戻るのも釈然としないものがあるので、やや心にモヤモヤを残したまま車を家に

走らせた。

 

「ただいま… 」

一応帰宅の挨拶は口にしたが、勇んで出掛けた割には早すぎる帰還が恥ずかしく、

その声は極めて小さかった。音を立てぬように極力注意しながら玄関の引き戸を開

け閉めした佐和子は、なんとなくバツが悪いから廊下を忍び足で歩き自室を目指す。

「えっ? なに? 」

廊下の途中で聞き慣れぬ声を耳にした佐和子は、舅の部屋の前で足を止めた。

「あぁぁ… ゆるして、おゆるしください、もう… あひぃぃ… 」

漏れ聞こえて来た艶っぽい声を聞いて、佐和子は黙ったままで目を丸くした。

 

 

 


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