その10

 

 

 

 

「す… すわっぴんぐ? 」

美しい年上の従姉妹からもちかけられた話に正信は仰天した。

「スワッピングって、あのスワッピングのことだよね? 」

「スワッピングに、そんなにいっぱい種類なんて無いでしょ? ごくあたりまえの夫婦

 交換ってことよ」

いつもの様に合鍵を使って勝手に部屋に入り込み、これまた部屋の主の許可など得るこ

ともなく冷蔵庫から取り出したビールで咽の渇きを癒しながら、妖然と美紗子は微笑ん

だ。

「ねえ、ミサ姉、だいたい前提条件からして間違っているだろう? だって、夫婦交換

 て言うならば、それはミサ姉と和人先輩で参加するのが筋じゃないか」

「あら、別にパスポートや戸籍謄本を提出してスワップパーティに参加する夫婦なんて

 、どこにもいないわよ。全員、自己申告の(夫婦)なんだから、ショウちゃんが私の

 旦那様でございます、って顔をしていれば、誰も本当の夫婦かどうか? なんて気に

 しないわ」

なるほど確かに美紗子の言葉には説得力があるが、その台詞の中に彼は小さな引っ掛か

りを覚えた。

 

「ねえ、ミサ姉、いま、スワップパーティって言ったよね? 」

「あら、いいところに気がついたのね? 実は普通のスワッピングじゃなくて、パーテ

 ィ形式らしいのよ」

彼が興味を示したことから、美紗子も身を乗り出して説明を続ける。

「もともと、うちのお隣の滝川さんの奥さんから誘われたの、滝川さんが独身だった女

 子大生の頃に参加した乱交パーティサークルが母体となって、参加メンバーがそれぞ

 れに所帯を持ったことから、今では乱交じゃなくて、スワップサークルに成ったそう

 なのよ」

美しい年上の従姉妹は暮らすマンションの隣室には、どうやらとんでもない夫婦が入居

している様だ。

 

「それでね、その滝川さんの奥さん、えっと、真弓子さんがね、夫婦のマンネリ打破に

 はスワップは一番だって言うのよ。でも、ショウちゃんも知っての通り、うちの人は

 年中海外出張ばかりで、なかなかパーティと日程が合わないの。でもショウちゃんな

 ら気軽な大学生で、いくらでもスケジュールを調整できるじゃない。それに… 」

なんともふしだらな説得をしながら、美紗子は曰くありげに上目使いで彼を見つめる。

「はっきり言うと、うちの人のアレ、他所様に威張って披露できる代物とは、お世辞に

 も言えないもん。でも、ショウちゃんのココなら、どこに出しても恥ずかしくないし

 、お隣の真弓子さんだって、きっと一目置いてくれるわ」

ズボンの上から股間をまさぐられて、正信は悪い気はしない。

 

「でもさあ、真弓子さんて人はお隣に住んでいるんだろ? それなら先輩の顔だって

 知っているじゃんか」

高校時代の先輩の元に嫁いだ美紗子を見つめながら、彼は疑念を口にした。

「その点ならば大丈夫、旦那は無理だけれども愛人とならば参加可能だって言ったら

 、真弓子さん大笑いしながら、なんでもアリだからOKだって言っていたもの」

スワップパーティと言うよりも若妻たちの退屈しのぎの乱交パーティ的な催しなのだ

ろうと想像すれば、若い正信の股間は見る間に力強さを増してゆく。

「参加してみて、もしも面白かったら後でウチの旦那の事を巻き込んでも良いし、あ

 んまり面白くなかったら1回だけでやめてもいいでしょ? ねえ、興味ない? 他

 の女の人? 絶対、よい経験になると思うの」

すでにヤル気満々な美しい年上の従姉妹の熱意にあてられて、正信は深く考えること

もなく頷いてしまった。

 

 

 

「げげ、マジかよ? これがみんな人妻って、嘘だろ? 」

指定された高原の別荘までは2時間ほどのドライブと成った。美紗子の夫の車は濃紺

のBMWなのだが、免許取りたての正信は不馴れな左ハンドルに難渋しながらも、こ

れから待ち受ける楽しいひとときの事を思い、なんとか都会を離れて避暑地へと辿り

着いていた。

個人の別荘と言うよりも、小洒落たペンションを思わせる山荘風の建物の大きさにも

驚かされたが、ツインの一室をあてがわれて旅の装いを解きひと休みした後に、夕食

の為に1階のホールに足を踏み入れた正信は、そこに集う男女、とくに女性達の姿を

見て小さく賛嘆の言葉を漏らした。彼の仮の妻を名乗る美紗子は文句無しに才色兼備

の美女なのだが、今、夫婦交換を目的に、このホールに集まっている若妻たちは、色

々と個性鮮やかであり、どの女性もそれぞれに美しく、とてもふしだらな秘め事で退

屈を満足させる淫売には見えないのだ。

 

年齢は上を見ても30才を大きく過ぎていることはあるまい。中には自分と同年代、

あるいは自分よりも年下では無いか? と、思える女性も混じっている。一方、夫衆

と言えば、明らかに自分が最年少であり、初老と言ってもおかしく無い者も見受けら

れるのだ。それぞれが、思い思いに夕食のテーブルに付いたことで、ようやく今回の

スワップパーティの参加メンバーが正信達のペアを合わせて7組であり、そしてこの

パーティの主催者が、あの初老の男であることが明らかになった。

「みなさん、今日は新しいメンバーを紹介することが出来る、良い日となりました」

 

後に、この別荘の持ち主である事が分かるの初老の男性だが、この時の正信は、そん

な事を知るよしもなく傍らの美紗子と二人で立ち上がり、夕餉のテーブルに着座する

諸先輩夫婦の歓迎の拍手の中、ちいさくペコリと頭を下げた。世情に疎い若造でも、

晩餐の食事が贅沢で絶品なことは良く分かる。参加者の中には、おそらくは高級なワ

インをガブ飲みする剛の者もいるが、はじめての参加で勝手の分からぬ正信は、乾杯

のシャンパンのグラスを干しただけで自重する。食事が終わるとメンバーは、やはり

広い隣室に場所を移す。その部屋の左右にはテーブルが置かれていて、誰が指図する

こともなく男は左、そして女は右のテーブルへと歩み寄って行くのだ。

 

「あの両方のテーブルの上にはトランプのカードが置いてあるのだよ、男のほうはス

 ペード、女のほうにはハートの1〜6までのカードが裏を向けておいてある。各々

 が一枚づつカードを取り、同じ数字の者達が一晩の逢瀬を楽しむ仕組みだ」

スワップパーティの主催者である初老の男、緒方が親し気に背後から正信の肩に手を

置き、緊張する若者にパーティの仕組みを説明する。

「最初に男がこの部屋を出て、トランプの数字に合わせて1〜7号室の何処かに入る

 。それが終わったら、今度は女性の方々が、同じ様に選んだトランプの数字に合わ

 せて部屋に赴くんだ」

「あら、それじゃ、部屋に入るまで、今夜の御相手が誰か? わからないのですね。

 まあ、ドキドキするわ」

興味深い仕組みを知り美紗子が朗らかな声で興奮を露にする。もちろん傍らで控えて

いた正信も、この洒落た嗜好が気に入った。

 

 

 

 


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