その15

 

 

 

 

「さあ、行きましょう、こっちよ、マサノブさん」

彼の申し出を承諾した若妻は、大胆にも正信の手を取り二階へ上がる階段へと導いた。少

し前に今夜の本来のパートナーである淑子と濃密な肉の交わりを持った部屋の前を通り過

ぎた二人は、沙苗の導きで奥から2番目の部屋に足を踏み入れた。

(へぇ… 想像はしていたけれども、どの部屋もほとんど同じ内装なんだな)

ソファセットが鎮座する居間と、奥のベッドルームと言う間取りを眺めていると、静かに

背後の忍び寄った沙苗は、優雅な仕種で彼のバスローブを脱がせに掛かる。

「まあ… 」

自分はスーツ姿のままで、一夜限りの契りを結ぶ相手の若者だけを全裸にした若妻は、前

のパートナーの淑子と同様に、うっとりとした目で彼の股間を凝視する。

「まだ、こんなに元気だなんて、なんだか嬉しくなっちゃうわ」

男の味を知り尽くしているであろう若い人妻は、当たり前のように彼の元で跪くと、隆々

と猛る怒張に手を差しのべた。沙苗の好きな様に振舞うことを容認して、若者は少し両脚

を開き足を踏ん張り腰を心持ち前に押し出した。天を向く雄物に指を絡めた美貌の若妻は

小さく一つ情念の隠った溜息を漏らすと、そのままそっと亀頭にキスを繰り返した。

時折鈴口を尖らせた舌の先で突き、さらに傘の張り出した亀頭だけをすっぽりと口に含む

愛撫は手慣れた様子が見てとれる。やがて沙苗はもっと大胆にフェラチオにのめり込んで

行く。美しい顔を左右に傾けて、青筋の浮き出た茎の側面まで舌を滑らせて唾液を擦り付

けたかと思えば、一転して、真正面から怒張を含み咽の奥まで導き入れる濃密な愛撫を正

信は、ある程度の余裕を持って受け止めた。

 

(ふぅ… この人も、随分とフェラが上手だよなぁ、前もって淑子さんと犯ってなければ

 、絶対に我慢なんて出来なかっただろう)

まだまだ若い情念は心の中で暴れ狂ってはいるものの、先に淑子を悶絶させるまで責めて

いたことから、正信は二人目の美貌の若妻の口での愛撫を楽しむ余裕を持っていた。一方

、若者の前で跪き口での行為に没頭する自分の行為により興奮を高めたのであろうか?

最初は慎みを感じられた鼻息は荒さを増し、時折小さく咳き込む場面もあるが、それでも

沙苗はフェラチオを止めようとはしない。若い牡の鋼を思わせる剛直の感触と固有の性臭

に煽られて、沙苗の口での愛撫は濃密さを増して行く。

「はぁぁぁぁぁ… 」

顎がだるく成る程にフェラチオに没頭した挙げ句に、ようやく満足した様子で沙苗は彼の

股間から顔を離した。

 

「ねえ、お願いがあるの」

「何だい? 沙苗さん」

立ち上がり、スーツ姿のままで全裸の正信に抱き着いた美人妻は、彼の耳もとで妖しく囁く。

「私を強姦してちょうだい」

「ごっ… 強姦って… 」

意外な申し出を受けて、正信は目を丸くした。

「うふ、本当の強姦じゃなくて、強姦ごっこに付き合って欲しいのよ」

彼女は一旦、若い仮染めの恋人から離れると、テーブルの上に置いてあった自分の大きめの

ポーチを手に取った。ホックを開けて中から取り出された道具類は完全に若者の意表を突く

代物だった。

「どうかしら、こんな玩具を使って、私を犯してみたくはない? 」

銀色に鈍く光る金属製の手錠、派手なショッキングピンクが毒々しい男性器を象ったバイブ

レーター、それに排泄器官を辱める目的で作られたアナル・パールなど、三流のエロ雑誌の

広告写真では何度も見ているが、どれもこれも実物を見るのは初めてな正信は、やがて大き

く顔を綻ばせた。

「面白い趣向ですね、ぜひ、御一緒させてください」

「まあ、嬉しい、それじゃ… 」

すでに全裸を曝している若者の傍らに歩み寄り、彼の股間に手をのばして勢いの衰えぬ雄根

に指を絡めて悪戯しながら、沙苗は爛々と目を輝かせる。

「まず、あなたは私の夫の会社の同僚ってことにしましょう。夫が留守の時を狙って、あな

 たは私の家に押し掛けてくるの、それで、私がどんなに抵抗しても許さないで、手錠で自

由を奪って、思いきり虐めてちょうだい」

魅力的な妄想の設定を語る沙苗は、まるで夢を見ているように言葉をつなぐ。

 

「嫌がる私を散々に弄んで辱めて、最後には、あなたのコレ、たくましいオチン◯ンで、と

 どめを刺すの。どんなに私が抵抗しても、かまわず最後まで犯してね」

正信の股間をまさぐりながら、美しい若妻は熱に浮かされたようにしゃべり続ける。

「服を着たまま下着を剥ぎ取って、乱暴に辱めてね。私は御芝居でいやがるけれど、それで

 萎えてやめたりしたら嫌よ。どんなに許してって懇願しても、絶対に許さないで最後まで

 思いっきり犯してね」

「でも、服を汚したり皺になったりしたら後々困るんじゃありませんか? 」

着衣のままで美人妻を強姦する状況設定には強く引かれるものがあるが、プレイの後の不都

合を思うと正信は首を傾げた。

「あら、やさしいのね、でも大丈夫よ、これある事を予想して、着替えなら下着を含めてい

 っぱい用意してきたの。だから下着やブラウスなんて、破り捨ててもらっても平気、いい

 え、破り捨てて欲しいくらいだわ」

ノリの良い若者の親切心を快く思ったのか? 沙苗は満面の笑みを浮かべる。

 

「分かりました、そういう事ならば俺も強姦者役を楽しませてもらいます。でも、万が一、

 気分を害して本当に止めて欲しいときには、遠慮なくほっぺたを平手で張り飛ばしてくだ

 さい。そうしたら御芝居を中止しますから」

「わかったわ、でも余計な配慮になると思う、だって、いままで一度も、本気で嫌だったこ

 となんて無いもの。さあ、楽しませて頂戴」

これから行なう疑似強姦プレイへの期待で頬を紅く染めた美人妻は、彼の手を引き寝室へと

誘う。

(よし、面白い、それならば、徹底的に悪ノリしてやろう)

美貌の若妻を辱める御芝居に、正信も胸踊らせる。リビングからベッドルームに入った直後

に、彼はいきなり沙苗の手を掴むと、力加減に細心の注意を払いつつ軽く背中にネジあげた。

「きゃあ、なにをなさるの? サワヤマさん」

正信が名乗った偽名を信じる若妻は、さきほどまでとは一転して厳しい顔で振り返り若者を

睨み付けた。

(うんうん、こういう表情もソソるなぁ… )

早くも芝居に突入した事を確認した正信は、空いた方の手を延ばして美人妻の顎を乱暴に摘

んだ。

 

 

 

 


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