その37

 

 

 

 

「私は緒方さんに挨拶をしてくるから、あなたは先に車に荷物をもって行ってちょ

 うだい」

「わかったよ、景子、でも時間が無いから手早く頼む」

ホールのソファに腰掛けたままの緒方に向かって、ペコっと頭を下げた景子の旦那

は、大きな旅行鞄を重そうに抱えながら玄関ホールに向かい去って行く。本来の目

的である緒方への挨拶など忘れたように、夫が去ったのを見計らい景子は正信に駆

け寄った。

「残念だけれど、今回はタイムオーバーなの、また一緒にテニスを楽しみたかった

 わ」

彩ったばかりの真っ赤なルージュが印象的な唇を若者の頬に押し付けた後に、緒方

の目を気にすることもなく景子は潤んだ瞳で正信を見つめる。

「でも、また来月に会えるわよね? 」

「いや、その… もしも招待していただけたら、会えるかも知れませんが… 」

景子の言葉に、次回のチャンスがあるのかどうか? 確信が持てぬ若者が口籠る。

そんな正信の心配を緒方はあっさり笑い飛ばした。

「景子さん、御心配には及びません。なにが無くとも、彼だけは万難を排して招待

 しますからね」

初老の男の太鼓判を聞いて、景子は妖艶な笑みを浮かべて頷いた。

「それでは来月の集まりを楽しみにしています。じゃ、その時にまたね、マサノブ」

緒方に一礼したあと、再び若者の頬にキスをした美人妻は、名残りを惜しみつつ夫

の待つ駐車場に足早に去って行った。

「おやおや、たいそうな御執心ぶりだね、横田くん」

緒方の揶揄の言葉に悪意は感じられぬから、正信は苦笑いして頭を掻いた。

「さて、今夜はお互いに乱痴気騒ぎになるかも知れないから、夕食までは部屋でゆ

っくりと休んで英気を養おうじゃないか」

「はい、わかりました。俺も、もうひと休みさせてもらいます」

旋風のように景子が去り静けさを取り戻したホールから、緒方に続いて正信も姿を

消した。今回のスワップパーティの最後の夜が、刺激に満ちた時に成る事を予感し

て、正信はうきうき気分で自分のあてがわれた部屋に戻る。ツインのベッドの右側

には、昨晩の淫行から、まだ立ち直れない美紗子が、やすらかな寝息を立てている。

(今の内にゆっくりと寝ていると良いよ、ミサ姉。今夜も大変なことに成りそうだ

 からね)

今夜、美しい従姉妹に群がる獣達の事を思うと多少気の毒にすら思うが、美紗子に

男が集中することにより、一対三の夢の様な4Pが実現すると思うと、正信の気持

ちは昂るばかりだ。その時の事を思って、少しでも体力の回復をしておこうと、彼

は靴を脱ぎ服のままで寝乱れたベッドに横になった。

 

 

「ショウちゃん、御飯よ。さあ、行きましょう」

先に起きて身支度もすっかりと整えていた美紗子に揺り動かされて、正信は目を覚

ました。昨晩の荒淫の影すら感じさせぬ美紗子の晴々とした笑顔は眩いほどに美し

く、見慣れているはずの正信は思わず息を呑んだ。

(男の精に満たされた女は綺麗に成るって言うけれど、まんざら与太話じゃ無いん

 だな)

ここ数日で、美しさに磨きが掛かった従姉妹の笑顔に気押されて、若者は黙って彼

女の後を追い掛けて階段を下って行く。

「あっ、真弓子さん」

夕食の準備が整っているであろうホールに続く広い廊下で、美紗子は彼女と正信を

、この素晴らしい会に招いてくれた美人妻を見つけて小走りに駆け寄った。美紗子

のマンションの隣室の住人である真弓子とは面識があったから、少し遅れて歩み寄

った正信もペコっと頭を下げて挨拶する。

「うふふ、聞いているわよ、マサノブさん。脅威の新人の登場だってね。紹介した

 私も鼻が高いわ」

美紗子と他愛も無い話で盛り上がった後に、彼の方に目を向けた真弓子が、なにか

含むところのある様な表情で微笑んだ。

「あら? そうなのショウちゃん? まったく、あなたも中々、隅には置いておけ

ないわね」

いつもであればむきになって反発する若者だが、美紗子のからかう言葉も牡として

の自信を付けて来た正信びは、もう別段、気にも成らなくなっていた。真弓子と美

紗子が姦しく騒ぎながらホールに入った後に付いて、若者も夕食のテーブルを目指

して広間に足を踏み入れた。

 

昼寝の前に緒方の気遣いによりサンドウィッチで腹を満たしていた正信だから、昨

日の晩餐の前の様に空っ腹では無く、この日の夕食は、それなりに馴染んで来たサ

ークルの他のメンバーとの会話を楽しむ余裕を見せている。そんな中で、やはり気

になるのは今夜のお相手の3人の美しい若妻たちの事だ。別室で行なわれる美紗子

の歓迎パーティに参加する淑子を除いて、さきほど廊下でばったりと出会った滝川

真弓子、そしてサークル活動の初日に思わぬ出合いから、すでに肌を合わせた吉岡

の妻の沙苗はお馴染みだが、もうひとり、関口の妻とは中々接点が無く、ここに到

るまで、二言、三言しか話すチャンスが無かった。

すでにこの場を引き払った景子ほどでは無いが、真弓子や沙苗に比べると頭半分ほ

ど身長で上回る派手な顔だちの美人妻を、夕食の席でようやく正信はしっかりと眺

める事が出来ていた。

(化粧のせいかな? 随分とケバい感じがするけれど、ひょっとしたらハーフかク

 オーターかもしれないぞ。えっと、確か名前は… そうだ、清恵さんだったっけ?)

隣に座った真弓子と談笑しながら優雅に食事を楽しむ長身の若妻の事を、なるべく

失礼に成らぬ様にチラ見しながら、若者は豪華な夕食の皿を次々と平らげた。最後

にそれぞれが選んだコーヒーか紅茶で咽を潤した一同は、テーブルを離れて思い思

いにソファで寛ぐ。

使用人達がきびきびとした動きで夕餉の後始末を終える頃に、緒方は立ち上がり雑

談に花を咲かせていた一同を見回した。

「さて、皆さん、今回の集いも今宵が最後の晩となりました。前もってお話したよ

うに、今夜はいつもと少し嗜好を変えたパーティを企画しております。男性陣は美

紗子さんの歓迎パーティを、そして女性陣は正信くんへの歓待をお願いしています

ので、それぞれ、先程お知らせした部屋の方に移動して下さい」

いよいよ、その時が来たことで武者震いした若者は勢い良くソファから立ち上がる。

 

 

 

 


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