その59

 

 

 

 

「おやおや、ラケットを捨ててしまうなんて、けしからんプレーヤーですね。それ

 でもアマチュアのチャンピオンなのですか? 」

正信の嘲る声に、美くしい若妻はイヤイヤと首を左右に振る。

「だって… もう、手が… 躯が痺れて、力が入らないのよぉぉ… 」

押し寄せる愉悦の荒波に翻弄された美人妻の媚びを含んだ悲しい声が部屋に響く。

「それはいけませんね、このままでは立っているのも難儀でしょう。さあ、旦那さ

 ん、奥さんの苦境を救ってあげてください。ほら、ぼんやりしていないで、景子

 さんの手を取って、支えてあげましょうよ」

いきなり役割を振られて戸惑いながらも、泰男はおずおずと妻に向かって両手をさ

し伸ばす。

「あ〜〜〜〜〜、ダメダメ、駄目ですよ、旦那さん、その前に、ちゃんとズボンと

 パンツを脱がなきゃ」

「えっ! 脱ぐ? 私が… ですか? 」

年齢は遥かに上だが、この場の主導権を握っているのは紛れも無く正信だから、泰

男は自然と言葉遣いが丁寧に成る。

「そうですよ、ここは不粋なズボンなんて脱いで、それで奥さんに迫るところじゃ

 ないですか? さあ、早く脱いで脱いで! 」

若者に急かされた泰男は少しばかり躊躇ったが、テニスウェアを身に纏い、剥き出

しの尻を正信に支配され陶然とした顔を見せる景子への劣情に理性が負けて、つい

には毟り取るようにズボンとブリーフを脱ぎ捨てた。

 

「ほら、景子さん、旦那さんが、あなたの奉仕を待っていますよ」

「ああ、悔しい、お前だけじゃなくて、泰男まで、私を弄ぶなんて… 」

しかし怒りを露にした台詞とは裏腹に、貴子は目の前にオズオズと差し出された夫

の男根を手に取ると、そのまま唇を寄せて嬉しそうに呑み込んで行く。わざと顔を

突き出して、咽の奥まで肉棒を呑み、苦し気に振る舞うことで被虐癖を満足させる

妻の乱れ姿を目の当たりにして泰男の興奮は頂点に達する。

「景子、ああ、景子、僕が景子を犯しているんだ、景子の口を、僕が… 」

「はふぅぅ… ええ、そうよ、泰男さん。あなたが、私のことを辱めているのよ」

呼吸の為にやむなく口から男根を吐き出した美人妻は、うっとりとした顔のまま手

にした夫の一物をしごきたてた。

「ああ、景子、気持ちいいよ、こんな風にしてくれるなんて… 感激だぁぁ… 」

「私も、嬉しい、だから、もう少し前に来て、ねえ、もっとあなたのチ◯ポを、お

 しゃぶりさせてぇぇぇぇぇ… 」

テニスウェアでのコスプレは、この部屋の男達ばかりでは無く景子の心にも邪な興

奮を齎した様だ。煌々と蛍光灯で照らし出された室内で、二人の男から犯される状

況は異質だから、景子も目眩を感じるほどに昂っている。口と蜜壷に同時に二本の

男根を埋め込まれたことによう快感は、これまで味わった、どんなセックスよりも

深く爆発的な愉悦を彼女に与えていた。

しかも、あろうことか夫の泰男は、彼女が尻を捧げている若者の突き上げのリズム

に合わせて、景子の口を犯し始めたのだ。前後から揺さぶられるリズムが、やがて

一致すると、若者の巨根が出入りを繰り返す膣と、喉咽粘膜を擦る夫の肉棒の間に

電撃的な快感が何度も走り抜け、生まれて初めて上下同時の2穴挿入を経験した景

子を、さらに深い意識の混濁へと投げ込んだ。

 

(ああ、こんなの、初めてだわ、このままじゃ、本当に狂ってしまう… )

正気を保つ事が困難な愉悦の濁流に押し流された美人妻は、それまでとは一転して

口にくわえた肉棒に挑みかかる様なフェラチオを仕掛けた。せめて口だけでも早く

解放してもらわないと、とてもでは無いが身が持たない。景子は快楽責めによる自

分の発狂を恐れた。

「くぅぅ… 景子、もう、だめだぁぁぁ… 」

妄想の具現化に酔い痴れた泰男は、あっと言う間に追い詰められて、そのまま彼女

の口の中に精をほとばしらせた。数週間前までの景子であれば、夫を粗そうを罵り

平手打ちを喰らわせていたかも知れない。否、そもそも夫の男根を口にすることは

無かっただろう。

しかし、このスワップサークルの新参者である正信との淫媚で鮮烈な肉の交わりを

経験した美人妻は大きく変貌を遂げている。もう彼女にはセックスにほとんどタブ

ーが無くなった。変態的な嗜好の持ち主である夫に引き摺られて、彼女はスワッピ

ングサークルで多くの他の男達とのセックスを経験して来た。だが、どの連中も鍛

え抜かれた美人妻の肉壷の強烈極まりない絞まりの前に、ほとんど何も出来ぬまま

情けなく精を噴き上げ、屍累々の惨状を曝して来たものだ。

男など皆、こんなモノだと嘲り見下していた景子にとって、そんな彼女のプライド

を粉々に粉砕した正信の存在は、いま、こうして彼に尻を預けていても、まだ信じ

難い代物だった。普通の連中であれば挿入の後、狂ったように腰を振り立て、彼女

を置いてきぼりにて射精に至るのだが、正信はこうして悠々と彼女の蜜壷を貫き突

き立て続けていた。景子の心の奥底に密かに仕舞い込まれていた情念を引き摺り出

して、牝の狂いをこれでもかとばかりに体験させる正信のセックスは麻薬に似た魅

力があり、満たされぬ情慾を持て余していた美人妻は、夫の目の前にも関わらず彼

の男根に忠誠を誓ってしまう。だから、こうして夫が不純な情念を満たして彼女の

口の中にだらしなく精を噴き上げても、景子は微笑みながら咽を鳴らして欲情汁を

啜り込む余裕を手に入れていた。

 

「うふふ… 美味しいわよ、泰男… 」

唇の端から溢れ滴る白濁汁を右手の中指と人差し指で拭った景子は、放心した夫の

目の前でピンク色の舌を軟体動物の様に動かしながら綺麗に舐め取って見せたのだ。

「けっ… 景子… 」

余りにも淫猥な妻の行動は泰男の心を大きく震わせた。彼は目を見張ったまま何度

も生唾を呑み込み、ついにはその場に尻餅を突いてへたり込んだ。

「それじゃ、今度はベッドルームに場所を移しましょう」

夫である泰男の妄想に付き合い、彼が予想以上に満足したのを確かめた正信は、あ

っさりと景子の尻から離れると、そのままひとりで隣室に歩き去って行く。

「さあ、あなた、今度はベッドで私があの獣の犯されるところを、全部見てちょう

 だい。きっとあなたも満足すると思うわよ」

へたり込んだ夫に投げキッスを飛ばしながら上機嫌な景子も若者の後に続く。

「まっ、まってくれよ、景子、おいて行かないでくれぇぇ… 」

取り残される寂しさに耐えかねて、泰男は慌てて立ち上がると二人の消えた寝室に

駆け込んだ。大きなダブルベッドの脇で仁王立ちに成った正信の前では、景子が跪

き彼の股間の雄物に指を絡めて舌を這わせている。ベッドルームの入り口近くで立

ち止まった泰男は、妻と、その愛人の織り成す淫媚なショーを恍惚の表情で見つめ

ていた。

 

「ねえ、ちょうだい、これ、もっと欲しいの、おねがい、マサノブ」

「いいですよ、それじゃベッドの上で四つん這いに成って下さい」

景子の驚くようなおねだりを快く引き受けた若者の返事が、妻を寝取られることに

無上の悦びを見い出した泰男のマゾ心を大いにくすぐる。そんな夫の変態趣味を嘲

笑うように景子は手早く小道具だったテニスウェアを脱ぎ捨てると全裸を曝してベ

ッドに四つん這いに成る。真っ白で円やかな尻を前にして、まるで最終確認を行な

うように正信はヘタレな夫の方に顔を向けた。

 

 

 

 

 


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