その12

 

 

 

 

 

「腹のでかい女とのセックスが、こんなに良いとは思わなかった」

「ボテ腹妊婦のケツの穴を犯すなんて、こんな経験は、そうそう出来るものじゃな

 いぜ」

「なんか、チンポの先に当るけれど、これって赤ん坊の頭か? 」

「それにしても、こんなに腹を膨らませてまで、まだ男に股を開くとは、いったい、

 どう言う女なんだ? 」

「これだけたっぷりと、好き放題にザーメンを注いでいるんだから、赤ん坊がザー

 メンで溺れるんじゃないか? 」

などと、お友達の皆さんの言葉での責めが、私の心を痺れさせる。特に赤ちゃんが

ザーメンで溺れると言われた事から、私はお腹の中にいる子が羊水では無く、御主

人様やお友達の吐き出したザーメンの中で浮かぶ姿を想像してしまい、なにか震え

る様な妖しい気持ちになったものだ。

もしも、この子が女の子であれば、生まれる前から何人もの異なる男達のザーメン

を注がれ、子種汁で濁った羊水の中で人としての形を整えている事に成る。世に生

を受ける前から男の汁の味を知り、ザーメンの臭いに馴染まされた女の子なのだか

ら、母親の私なんかよりもずっと淫乱で、それこそ一日中ペニスの事を思い、相手

がどんな男であっても股を開く売女と成ることは間違いない。いつの日にか、成長

した淫乱娘と二人で御主人様のペニスに仕える姿を想像すると、それだけで私はイ

ッてしまった。

 

 

 

「お姉ちゃんは、お父さんの子供じゃ無いの? 」

亡き母の残した淫魔の日記をここまで読み進めて、優香は驚愕の表情を浮かべた。

「だから、お姉ちゃんはお父さんとセックスしたの? でも、それなら、私は? 」

姉が父の本当の娘では無かった事を知った衝撃は大きいが、それならば自分はどう

なのか? 亡き母親の異常に淫らな肉交を赤裸々に綴った日記を、彼女は急いで読

み飛ばす。優香が捜した内容は日記の巻末にあった。

 

◯月◯日、生理が無い、やっぱりあの夜の御主人様とのセックスで、また私は孕ん

だみたいだ。最初の子の時ほどは強烈に感じていないが、なんとなく二人目を孕む

予感はあった。夫も二人目の妊娠を喜んでくれている、今度は男の子が欲しいと言

っているが、たぶん次も女の子だろう。

まだ小さいから長女の礼子が私と同じように淫売かどうかわからない、今の所はご

く普通の女の子に見える。だが、礼子も、そして次に生まれて来るこの子も、絶対

に淫蕩な私の血を濃く継いでいるハズだ。二人目を授かった事よりも、御主人様や

お友達の皆様が、また妊婦を犯す事を面白がり、この奴隷女をボテ腹精液便器扱い

して下さる事の方が嬉しい。

日に日に膨れて行くお腹を嘲笑いながら、きっと皆さんで私を妊婦肉便器として扱

い、前と同じようにペニスをいっぱい下さるだろう。それを考えると、いまからヴ

ァギナが疼いてたまらない。二人目の子が予想通りに女の子ならば、この子もザー

メンで濁った羊水に浮かび、誕生前から精液に塗れた色魔女と成るに違い無い。

 

 

 

「うそ、私も… 違うの? お父様の娘じゃ無いの? 」

これまで信じていた世界が一瞬のうちに砕け散り、いきなり何の手掛かりも無い宙

に放り出された様な錯覚を感じた優香は、亡き母の日記を読み続ける気力を失い、

放心したままベッドに身を横たえた。

「どう言うこと? お姉ちゃんも私も、お父様の子じゃ無いって? それは本当な

 の? まさか、嘘よ。でも、日記が… そんなわけ無い、私はお父様の子よ。で

 も、この日記が違うって、いや、そんな… 」

事の重大さに押し潰されて優香の心は悲鳴を上げる、とても受け入れられぬ真実を

突き付けられた優香の神経は焼き切れてしまい彼女はそのまま意識を失った。

 

 

翌日のお昼近くになって、ようやく優香は目が覚めた。ベッドサイドの床の絨緞の

上に落としたままの亡き母の悪魔の日記を見ると、起きたばかりの優香は強烈な目

眩に見舞われた。

(夢じゃなかった)

あまりにも突拍子の無い内容なので、あるいは夢かも知れぬと言う一縷の思いに縋

った優香だが、目を覚ましてみれば、たしかに古ぼけた日記帳はそこに存在してい

た。禍々しい母の過去を標した日記を拾い上げると、彼女は机の一番下の引き出し

に放り込み鍵を掛けて目の前から存在を消した。ふらふらと立ち上がった優香は部

屋を出てリビングに向かう。

「あら、おはよう、優香ちゃん。まっていてね、今、朝食の準備をしてあげる」

あの日記を手渡した事実が無かったように、リビングでお茶を飲んでいた礼子が気

さくに席から立ち上がる。

「御飯なんて、いらない! ねえお姉ちゃん、あの日記、ほんとうにお母さまの書

 いたものなの? 」

精神的な衝撃から立ち直れない優香は、能面の様に表情を失った顔で姉に問い質す。

「ええ、そうよ。間違い無く、お母さまの日記だわ。だって、あれを見つけたのは

 私ですもの。ほら、お母さまの衣装部屋にある一番古い桐の和箪笥を知っている

 でしょう? 和服が仕舞ってある、あの箪笥の鍵付きの隠し戸棚の中から見つけ

 たのよ」

青白い顔で朝食を拒んだ妹の為に、礼子は温かい紅茶を用意する。

 

「お母さまの遺品の着物を整理している最中に偶然、あの和箪笥の隠し戸棚の存在

 を知ったの。他の遺品の中にあった幾つかの鍵を試したら、そのひとつが大当た

 りで、中に入っていた日記を発見したわ」

高級な紅茶の香が鼻孔をくすぐるが、今の優香には濃厚な香りを楽しむ余裕は無い。

「でも、あれって、本当の事なの? だって、お母さまがあんな… あんなにふし

 だらな事をするなんて信じられない。ひょっとしたら、お母さまの妄想じゃない

 のかしら? 」

目の前の姉も自分も、実は敬愛する父の子では無いと否定する日記の内容を信じら

れずに、優香は藁にも縋る思いで礼子に問いかけた。すると、それある事を予想し

た様に姉は静かに一枚の書類を取り出した。

「これを見て、ここの欄よ」

書類を手渡された優香の目が大きく見開かれた。

「お姉ちゃん! これって? 」

「ええ、DNA鑑定の報告書。そこの続柄の可能性の数値をよく読んでちょうだい

 。私がお父様、いえ、哲男さんの娘である可能性は99、999999パーセン

 トの確率で否定されているでしょ? あの日記を読んですぐに、私は秘密で県外

 の医療機関にDNAの鑑定を依頼したのよ」

これだけの重大事にも関わらず、礼子は楽しげに見えるほど朗らかに説明を続ける。

 

「少し残念だけれども、日記に出て来る智則って奴のサンプルが無いから、私の本

 当の父親が誰なのかは分からない。でも、いいの、私がお父様とは血縁関係に無

 いって事がわかれば、それでいいのよ」

父親との親子関係を否定されたのに、礼子は満面に笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 


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