その9

 

 

 

「なあ、智也、あんた、少し、キャラが変わってないかい? 」

「こう言うキャラクターは、お嫌いですか? 美樹子さん? 」

さりげなく自由を奪った彼女を抱き寄せ、智也はまたもやでディープキスを仕掛け

る。舌を絡め唾液を啜り合う濃密なキスを交わすと、美樹子はうっとりとした顔に

成る。

「うん、そんなキャラの智也もステキ… 」

恍惚とした笑みを浮かべる一つ年上の美女の裸身を抱えた智也は、そのまま彼女を

ベッドに横たえる。

「肩や背中、大丈夫ですか? 痛くありませんか? 」

「うん、平気、ちょっとキツイだけ」

自由は制限されたが、智也の相変わらずな気遣いが嬉しくて、美樹子は微笑みを浮

かべていた。だが、ここから若者は良い人の仮面をかなぐり捨てる。全裸になった

上に、両手を背中で縛られた美樹子は、すでに抵抗力を削減されているから、もう

智也に恐いものは何も無い。彼は前任者の愚を踏襲する事なく、逸る気持ちを抑え

て彼女の股間に顔を埋めて行く。

 

「あっ、トモ… そんなこと、きゃぁぁぁぁぁ… 」

同じ空手部の中でも、吉野の恋人の雅美や蒲田の彼女の深雪との猥談の中で、男と

女の肉の交わりで、どんな事が成されるか語られるから、美樹子とて一通りの事は

わかっているつもりだった。だが、知識として弁えているのと、実際に体験するの

では雲泥の差があり、しかもいきなり股間に顔を埋められてしまうと、経験の乏し

い美樹子は即座に混乱に陥る。

「きゃあ、トモヤ、あの、そこ… えっと、あっ… ひゃぁぁ… 」

話しの流れからシャワーを浴びる間が無かったことを後悔しながら、美樹子は自由

を奪われた裸身をくねらせる。一方、牝の性臭が洗い流されてしまわなかった陰部

に顔を近付け、そこから立ち昇る淫媚な香りを胸一杯に吸い込んだ智也は、そのま

ま顔を前に進めて女陰に鼻面を押し付ける。

「あふう、そんな、汚いよぉ、智也、まって、だったら、シャワーを… あひぃ… 」

わざとクンクンと音を立てて匂いを嗅いだかと思うと、鼻の頭を女陰に沈めて顔を

左右に振る智也の行為の前では、美樹子は己を保つのが難しい。彼が鼻を擦り付け

てくると、止めども無く愛液が溢れてくるから美樹子は恥ずかしくてたまらない。

そして、鼻の頭ばかりではなく、ついには舌まで用いて秘裂を嬲り始めた若者だか

ら、彼女の悲鳴も手放しだ。

 

「だめぇぇぇ、そんなところを、舐めたら… きたないよぉぉぉ… あひゃぁぁぁ… 」

鼻の頭で擦られてさえ、痺れるような快美があるのに敏感な肉芽を舌先で探り当て

られたすえに、何度も舐られてしまうと信じられないような快感が美樹子の下半身

を蕩けさせてゆく。

「あああ、もう、だめ、智也のH! うぅん、ひぃぃぃ… 」

もしも両手が自由ならば、力一杯若者の頭を押し退けていただろうが、あらかじめ

彼女の抵抗を排すため後ろ手に拘束されてしまっているから、美樹子に出来るのは

艶っぽい悲鳴を張り上げることと、痺れた裸身をうねらせるだけだった。そんな年

上の美女の負けっぷりを他所に、智也は執拗に目の前の濡れた花唇を舐り回す。集

中的にクリトリスを舌の先で弄ばれた美女は、切な気に啜り泣くばかりに追い詰め

られる。

「ふう、これだけ濡れていれば大丈夫かな? 」

抗う姿勢が途絶えて、なすがままに成った美樹子の股間からようやく顔を上げた若

者は、様子を窺う様に彼女の顔を覗き込む。

(うわぁ、可愛いなぁ… 美樹子先輩も、こんな表情をするのか? 惚れなおして

 しまうぞ)

虚ろな瞳でハアハアと息を荒げる美女の恍惚とした顔を見て、いよいよ智也も我慢

が出来なくなった。

「それじゃ、入れますよ、いいですね? 」

たとえ嫌だと言われても、引き返すことなど出来ないが、敢えて問いかけた若者の

言葉に、美樹子は黙ってコクリと頷く。許可をもらった智也は、彼女の太股を掴み

股を開かせると、そのまま自分の腰を前に押し進めた。まだ1度だけ、しかも中途

半端な経験しか無いと知らされていた女陰は想像以上に頑で、最初は多少手間取っ

たものの、一旦、狭い入り口に亀頭が滑り込むと、あとは比較的スムーズに若者の

肉棒は蜜壷に呑み込まれて行く。

 

「あっ… あひぃ… トモ、そんな、あぁぁぁぁ… 」

「もうちょっとだから、我慢して下さい、美樹子先輩」

熱い火柱を打ち込まれた様な鮮烈な感触が経験の乏しい美女を混乱させる。

(あれ? でも、痛いことは痛いけれど、そんなに痛くないと言えば… 痛くはな

 いかも? あっ、なに? これ? ちょっと、ヘン… あっ、あくぅぅぅぅ… )

最初にピリピリとした痛みが走った膣から、やがて奇妙な快感が沸き上がったこと

に美樹子は驚き目を見張る。彼の雄根を呑み込んだ肉壷が、いきなり急激に火照り

出し子宮に甘い痺れが走ると、美樹子は思わず仰け反り喘ぎ声を堪え切れない。

「あふぅぅぅ、トモ… なんだか、ヘンなの、なによ、これ? あっ… 」

好奇心旺盛で活発な美樹子はオナニーに対する後ろめたさも希薄で、一人暮らしな

のを良いことに、毎晩の様に指を使って自分を慰めていた。高校時代の悲惨な初体

験の反動から、大学で智也と出会うまでは男との交際に消極的だった彼女は、恐れ

る反面、過剰な期待をセックスに抱いていた。大学で出会った発展家の女友達との

猥褻な談義で、男との肉の交わりから生まれる快感を吹聴されていた彼女は、初体

験で味わった痛みが、どうしてそんな気持ちの良いことになるのか理解に苦しみ、

友人達の桃色談義を疑っていたものだ。

しかし、今の美樹子は同性の友人達の猥談には何の誇張も無く、それどころか事実

を過小に語っていたかも知れないと考えていた。初めて智也の舌や唇で女陰を嬲ら

れたときは、自慰とは異なり予想外の場所を弄られる意外性から大いに昂ったもの

だ。これこそ女友達が話題にしていたセックスの良さなのか? と、早合点した美

樹子であったが、実はそれがただの通過点に過ぎず、本当の快美はこれからなこと

を、怒張に貫かれた瞬間に牝の本能が悟っている。

「大丈夫ですか? 大丈夫なら少し動きます」

遠くに聞こえる智也の言葉に、美樹子はまたまたコクリと頷く。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ… 」

一旦、引き抜かれた怒張が、再び花唇を割裂いて侵入してくると美樹子の閉じられ

た瞼の裏側に極彩色の花火が立て続けに炸裂した。

(やばい、これ… やばすぎぃぃぃぃぃ… )

最初は慎重だった智也の腰使いも、蜜壷から呆れる程に溢れた愛液が潤滑剤と成り

スムーズな出入りが可能に成ったことから、やがて速度を上げてリズミカルな動き

に移行して行く。そのひと突きひと突きに合わせて、脳髄まで痺れるような衝撃が

美樹子に襲い掛かってくるから、彼女の悲鳴も手放しだ。

 

「ひぃぃぃ… ああ、もう… ともやぁぁぁぁ… あたし、へんになるぅぅぅ… 」

先輩としての威厳も、年上の女という矜持も、微塵に粉砕する快美の中で、頭に血

が昇った美女は何度も後ろ手に拘束された裸身を弓なりに反らせる。次から次へと

押し寄せる愉悦の荒波に揉みくちゃにされた美樹子は、自分の指で慰めるオナニー

などとは次元の違う鮮烈な快感に溺れて、目の前がなんども暗くなっていた。一方

、智也の方もかなり危ない状況に陥っている。酒のせいで多少は感覚が鈍っていた

おかげで、ここまで持ってはいたが、憧れの年上の美女を組み伏して荒腰を存分の

奮う行為は心地よく、すぐそこまで暴発の危機が迫っていた。

「くぅ、先輩、僕、もう… 」

「へっ… なに、ああ、いい… これ、すごい… 」

膨れ上がった劣情が堰を切りかけていると訴える若者を、美樹子は瞳を欲情で潤ま

せながら見つめる。

「いいよ、中で、大丈夫な日だから… あぅ… そのまま… あっ、だめ、いくぅ

 ぅぅぅぅぅぅぅ… 」

艶っぽい悲鳴を張り上げた美樹子が、裸身を大きく痙攣させて絶頂への階段を駆け

上がる。彼女が法悦境へ押し上げられた瞬間に、智也も耐えに耐えた引き金を絞り

射精に及んだ。

 

 

「ふぅぅ… あっ、あれ? 」

しばらくの間は射精の余韻に酔い痴れて、彼女の蜜壷の中に剛直を留めた智也は、

やがて大きく溜息を付くと、ようやく身を離しにかかる。そこで、彼は自分の萎え

かけた男根が赤く染まっているのを見て驚いた。

「あの、美樹子先輩… 」

ここに至り、ようやく彼女の両手を背中で縛り上げたままだった事を思い出した若

者は、あわてて拘束していたタオルを解き美樹子を解放する。

「なあに? 智也? 」

生まれて初めて異性との肉の交わりで、想像も出来ぬ快楽を味わった美女は、恍惚

の表情を浮かべて智也を見つめる。

「あの、多分、美樹子先輩は、処女だったみたいですよ」

「へぇぇ… えっ、いま、なんて言った? 」

多少の恥ずかしさはあるが、処女の印の出血で赤く染めた半萎えの男根を指さして、

智也は苦笑いを浮かべた。

「それじゃ、あんなに痛い思いをしたのに、あの時、私は処女喪失に失敗していた

 の? いやだ、馬鹿馬鹿しい」

最初の体験の時には無理矢理に挿入された痛みに耐えかねた美女は、おそらく相手

の男根が処女膜に到達する前に肘撃ちを一閃させ、ぶちのめしていたのであろう。

「事情はとにかく、先輩の初めての相手は僕って事になりましたね」

ニコニコ顔の若者のことを自由を取り戻した両手を使って美樹子は抱き寄せた。

「そうね、智也は私を女にしたんだね。それは認めてあげる」

恋い焦がれた末にモノにした若者にキスをねだりながら、美樹子は少し悔しそうに

囁いた。

 

 

 

嗚呼、大学の同好会  前半 END

 

来週に続きます。

 

 

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