その13

 

 

 

 

冬の頼り無い日の光の中で、しかも彼等二人以外は無人と言っても日頃は講議を受

けている教室の中で、美樹子が美貌を傾けて彼の男根にしゃぶりついてくれている

光景を見下ろせば、それだけで智也は幸福感を噛み締めた。冬休みの間、二日と空

けずに逢瀬を重ねて来た二人だったから、美樹子のフェラチオも上達は著しく、ほ

んの少しの油断がいきなり射精に結び付きかねない。

彼の指示に従い嫌々ながらに真っ赤なルージュで染まった唇を大きく開き、間違っ

ても前歯を当てぬように細心の注意を払い舌を絡めたかと思えば、一転して顔を大

きく前に傾けて咽の奥の粘膜を使い擦り上げるテクニックは簡単に智也を追い詰め

て行く。

「ふぅぅ… 気持ちいいですよ、美樹子さん」

いい気に成っている年下の男に少しばかり反感を持った美女は、さっさと噴かせて

嘲笑ってやろうと目論み、ここ数日で会得したテクニックを総動員してフェラチオ

を続ける。亀頭を包み込む様に唇を窄めて、舌の先を尖らせ鈴口を小突き先走りの

汁を舐め廻す技は、とても数年前に不様に処女喪失を失敗した女とは思えない。

しばらくは亀頭を中心に執拗に責めたかと思えば、いきなり顔を前後に激しく揺ら

して雄根の根元まで呑み込み強烈に吸い上げる手管の前では、女慣れしていない智

也などイチコロに見える。

 

(まっ… まずい! ここで噴くわけには行かない)

崩壊の危機が迫ったのを自覚した若者は、多少慌てて美樹子を股間から引き剥がし

に掛かる。一方、彼の我慢が限界に達したことを悟った美女は、抗う男の手を振り

解き、フィニッシュへ向けて最後の追い込みに取りかかる。だが、その時… 

「あっ、美樹子さん、誰か来ます! 」

とんでもない台詞を耳にした美女は、慌てて彼の股間から顔を離して立ち上がる。

だが、静まり返った教室に新たな人の気配は感じられない。美樹子が慌てて離れた

のを良いことに、若者は立ち上がると、まだ勃起したままの一物をすばやくズボン

の中に押し込んだ。

「智也! はかったわね? 誰も来ていないじゃ… あっ… なにこれ? きゃぁ

 ぁぁぁぁぁぁぁぁ… 」

恋人の虚言に惑わされ、まんまと逃げられた美樹子は厳しい顔で智也を睨むが、そ

れも長くは続かない。若者は手に握っていたコントローラのスイッチを操作して、

彼女の膣に埋め込んだままのピンクローターの振動を強力化したのだ。この手の淫

具に慣れていない美樹子は、ただでさえ牡の股間の饐えた臭いに興奮を高めていた

ところへ、機械による強い振動が加わったから、もう恋人の不実を責める余裕は一

気に吹き飛んでしまった。腰が砕け脚が萎える原因を排除しようと彼女は股間に手

を差し伸べるが、驚くべき素早さで智也は美女の右手の手首を捉まえた。

「だめだめ! 今日は1日、そのままでいてもらいますよ」

「1日って、そんな、無理、無理無理、無理だよぉぉ… 」

股間から沸き出す甘い快感に躯が痺れてしまい、美樹子は不躾に彼女の手首を捉ま

えている智也を振払う事が出来ない。

 

「さて、そろそろ二限目の授業が始まります。一年生の選択科目ですが美樹子さん

 にも付き合ってもらいますよ。もちろん、そのままでね」

彼の手でコントロールされたピンクローターの振動が最弱化したことで一息ついた

美樹子だが、そんな彼女を抱きかかえるように智也は空の教室を抜け出した。

「なあ、智也、歩きにくいんだけれど… 」

「ちゃんと意識して歩いて下さいね、もしもこの廊下でアレを落っことしたら、相

 当に恥ずかしい事に成りますよ」

膣にピンクローターを埋め込まれたまま、美樹子は若者にしがみつき、おぼつかぬ

足取りで1年生の講議が行なわれる教室に入った。新年初の講議と言うこともあり

、短い冬休みの間、離ればなれに成っていた学生達が、そこかしこで談笑したり嬌

声を張り上げて抱き合ったりする教室で、美樹子はやっと中央後方の座席を確保す

る。

「うひゃぁ… 」

智也に導かれるまま席に腰を降ろした途端に、蜜壷の中の大人の玩具が大きく振動

したから、思わず彼女は腰を浮かせて奇声を漏らしてしまった。彼とは反対側に座

った女子学生が怪訝そうな視線を向けるなか、美樹子は愛想笑いを返すと気力をふ

り絞って何ごとも無かったように腰掛け直した。

「とっ… 智也、さん、あの、ちょっと、おふざけが過ぎてやしませんか? 」

「えっ、なんの事ですか? 美樹子さん」

彼の気が済んだのか、振動が小さくなったのを見計らい、美樹子は隣の恋人を睨み

付けた。だが、そんな年上の美女の怒りを軽く受け流した智也は、にこにこしなが

ら彼女を見つめた。

「憶えていろよ、次の勝負で私が勝った暁には… 」

褌一丁でグラウンド10周に加えて、正門前でスクワット100回も罰に付け加え

ようと固く決意した美樹子だった。

(あと数分で講議が始まる、それまでの辛抱よ、美樹子、ガンバ! )

授業さえ始まれば、このモヤモヤから解放されると信じた美樹子だったが、彼女は

まだ自分の恋人が思ったよりもずっと鬼畜な事を正しく認識していなかった。やが

て軽やかなチャイムが鳴ると、美樹子の予想通りに膣の中で蠢いていた忌々しいピ

ンクローターは静かになった。

 

(ふぅ… 助かった)

1年生の講議だから当然、美樹子は教科書は無い。さも忘れましたと言った風情で

隣の智也に身を寄せて教科書を覗き込む彼女が不意に眉を曇らせる。

(ばっ! ばか! 智也、お前、気でも狂ったか? )

講師が授業を始めて5分と経過せぬ内に、なんと彼女の肉壷に呑み込まれていた桃

色の大人の玩具が再び微弱ながら振動を再開したので、美樹子は驚き目を見開いて

隣の若者を睨んだ。しかし智也は我関せずと言った風情のまま、熱心に教科書を見

つめるばかりだ。

(まっ… まて、何をしている、おい、だんだん強く成っているぞ、こら、智也、

 調子にのるなよ、あっ… くふぅぅぅ、声が、声が出ちゃうだろうが! 智也! )

教科書から顔を上げようとしない若者に業を煮やして美樹子は彼の脇腹を拳で軽く

叩く。しかし、その返礼はピンクローターの振動の強化だった。

「ふぅぅぅぅぅぅ… 」

ある程度の覚悟はあったが、蜜壷の中で暴れる玩具の振動がいきなり強まると、流

石に美樹子も堪え切れず、甘く切な気な吐息を漏らしてしまう。

(まずい、まずいよ、また、あの、変な声が出ちゃう… ええい、やめんか、智也)

両手の拳を力一杯に握り締め俯いた美樹子の額には脂汗が滲み出ている。一生懸命

に奥歯を噛み締めて咽の奥から溢れてくる艶っぽい吐息を押し戻すが、そんな恋人

の苦境を智也は無関心のまま見過ごし続けた。この一見すると優男にしか見えない

若者は、手にしたコントローラーを巧みに操り、恋人の膣の中に埋め込まれたピン

クローターの振動を制御している。

 

 

 

 


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