その19

 

 

 

彼女が担当する美術の授業は二年生の選択科目であり、残念ながら1年生の芳弘

はまだ憧れの女教師の講議を受けたことは無い。だが、朝夕のホームルームの際

に見せる毅然とした凛々しい教師姿を見慣れていた少年は、すまし顔の奥で担任

を任された生徒たちと淫らに交わる妄想を抱えていたと知らされて唖然となった

。自宅のマンションならばいざしらず、学び舎の教壇に立っている時にさえ、そ

んな淫らの妄想に耽っていたとは… 時に厳しく、またときには優しい視線を生

徒に注いで来た智代の裏の顔を知った少年は、あらためて女性の心の中に潜む魔

性を見せつけられて呆然となった。

だが驚くと同時に彼の胸中にはムクムクと暗雲が広がり、敬愛して来た分だけ智

代の本性に対する腹立ちが膨れ上がった。濃紺で膝長けのスカートを脱ぎさり、

ショーツに手を掛けた女教師の腕を芳弘はやや強引に捉まえた。

「手慣れていますね、もしかして、ここでも前澤先生とHしたことがあるんでし

 ょう? 」

少年の声色が低くなったことを感じながら、それでもまだ智代は余裕の笑みを浮

かべて頷く。

 

「ええ、そうよ。生徒との面談に使われる場所だからプライバシーの保護の為に

 、生徒指導室は完全防音で作られているの。だから廊下から室内を覗き込める

 小窓も無いし、念には念を入れて、遮音性の高い遮光カーテンで仕切られてい

 る窓も防音性の高い二重構造のサッシなんだから。ここでは、私が思いっきり

 叫んでも、外には少しも悲鳴は漏れないのよ」

「だから前澤先生とのお楽しみに絶好な場所と言うわけですね」

これまでとは異なり、瞳に冷たく暗い影を宿した芳弘の言葉に、美貌の女教師は

微妙な違和感を覚えてすっと目を細める。

「どうやら、御主人様のお言葉に間違いは無いみたいね」

まだ制服すがたの少年の胸元に掌を当てて撫で回しながら、智代は少年には理解

出来ない言葉を漏らす。

「前澤先生の言う通りって? なんのことですか? 」

窓が分厚いカーテンで仕切られた狭く薄暗い生徒指導室の中で、芳弘は怪訝そう

な顔で首を少し傾げた。

「御主人さまはサドだから、私みたいなマゾ女を見れば、ひと目で性根を見破れ

 るって豪語しているけれど、それは私も同じことで、私ならば、表面上はいく

 ら上品に取り繕っていても、ひと皮剥いたら女を痛ぶり辱める事が好きなサド

 野郎を敏感に嗅ぎ付けるハズだって言っていたの」

二人きりの部屋で清純な女教師の仮面を脱ぎ捨てた被虐癖のある美女は、少年の

目を見つめて話し続ける。

「そんな私が選んだのは君だったわ。最初に私の部屋でヨシノブに抱いて貰った

 時は、ほら、ノーマルなセックスだったから、気持ちの半分は安心したけれど

 も、後の半分は少し拍子抜けだったのよ」

教え子の童貞を喰らう昂奮はあったはずなのに、すでに前澤により骨の髄までマ

ゾの悦びを刻み込まれていた奴隷女教師が、あの痴態を演じる中で、そんな冷め

た思いを抱いていたと知らされて改めて芳弘は打ちのめされた。

 

「私が選んだヨシヒロだから、絶対に君も御主人様と同じ種類の人間だって言わ

 れたけれど、今までの所、そんな素振りは無かったわよね。でも… 」

彼女は少年の顔に手を差し伸べて、しっかりと閉じられた唇の上を中指で摩って

見せる。

「こうやって、いきなり学校の中で呼び出して、セックスを誘っても、ヨシヒロ

 はびびって無いわ。いえ、それどころか生徒指導室で御主人様に抱かれたか?

 なんて、残酷なことを平然と聞いて来るなんて… ねえ、気が付いているかし

 ら? あなた、私にとっても酷い事を言っているのよ」

少年の柔らかな唇を指の先で悪戯しながら、智代は挑発的な笑みを見せた。

「オナニーして見せて下さい」

「えっ? 」

美貌の女教師は少年の唐突な言葉に目を丸くする。

「聞こえたはずですよ、智代先生。学校の校舎なの中のこの場所で、生徒の僕の

 目の前でオナニーして見せてください。教え子に見られながら、オマ◯コから

 愛液を垂れ流して見せて下さい」

彼女の言葉を軽く受け流した少年は、暗い目をして破廉恥な命令を言い放つ。

「同級生の皆が、先生、先生って言って智代先生を崇め尊敬するこの学び舎で、

 実はあなたがチ◯ポの奴隷の淫売であることを示す為に、僕の目の前で自分の

 指でオマ◯コをかき回して見せて下さい」

自分でも驚くほどに冷静さを保ちながら、芳弘は残酷な言葉を憧れていた女教師

に投げかけた。少年の豹変ぶりに戸惑い暫し固まった美人教師だが、彼の言葉の

意味がしっかりと脳髄に刻み込まれると、これ以上は無い淫蕩な笑顔を浮かべて

、小さく音を立てて生唾を呑み込んだ。

「うふふ… やっぱり御主人様のお見立ては間違いじゃ無いみたいね。ええ、い

 いわ。私は御主人様の肉奴隷だもの。そしてヨシヒロ、あなたは私にとって二

 人目の御主人様になるのね? 」

この指導室に来るまでは、こんな展開は芳弘自身も想像していなかった。前もっ

て前澤からは、多少高飛車に振る舞うと面白いぞと知恵を付けてもらっていたが

、たとえ主人の命令としても、真っ昼間の学校で嬉々として股を開く憧れの女教

師の堕落ぶりは、芳弘の心の中にどす黒い嫉妬の炎を燃え上がらせていたのだ。

愛しくてたまらなかった女教師が、じつは先輩教師の欲情を吐き出す肉便器と成

り果てて、マゾの血脈を持て余す被虐奴隷化していたことが少年を大いに落胆さ

せ苛立たせている。

敬愛し崇拝していた美の女神が、実は被虐癖を持ち御主人様の言い付けとあれば

教え子の童貞を貪る色情狂だった事を思い知らされた少年は、可愛さ余って憎さ

百倍の境地にあった。だから芳弘の声色にも怒りと冷徹さが入り交じり、彼から

辛辣な台詞を投げかけられる智代のマゾ心を震わせる。

肉の奴隷に堕ちることでこの世のものとは思えぬ強烈な快美を知った美人女教師

は、あらたに自分を責め苛むことに成るであろう少年を見つめる瞳を欲情で潤ま

せた。

「ええ、わかったわ。あなたもやっぱり御主人様なのね? ああ、はずかしい、

 でも、ヨシヒロが、いえ、ヨシヒロさまが御主人様になられたのなら、私はけ

 して逆らいません。私は御主人様の男根様に仕えることを定められた淫売なの

 ですから… いつでも御主人さまの為ならば股を開いて、マン◯を捧げる肉便

 器女のオナニーを、どうか御覧になってください」

 

 

 

 


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