その34

 

 

 

 

「それでは、誓いのくちづけを… 」

式がいよいよクライマックスに差し掛かる神父の言葉を耳にして、少年の手は

じっとりと汗ばみ、握り隠しているコントローラーを湿らせていた。一方、無

事に指輪の交換を終えたあたりから、前澤の心は微妙に苛立って来ている。ヴ

ァージンロードを父親と共に歩いて来た智代が、つねに膣の中で暴れるロータ

ーに悩まされていたのは、この悪巧みを仕組んだ前澤には一目瞭然だった。

花嫁が理性を崩壊させるギリギリの限界点を探り、振動を強弱させてコントロ

ールする少年の手際には内心で舌を捲いたサド教師だが、その後がいただけな

い。神父の前に二人並んで神様に捧げる戯言を聞いている間に、智代は少しず

つ平静を取り戻して行くではないか! 彼の視界からは死角に成ったことから

、前澤は花嫁の妹が鋭い視線を姉と義理の兄に成る男に向けているのが分から

ない。

勘所の鋭い由梨江に事を露見される危険を察した芳弘が手控えた事実を、少年

の恐駄か怠慢と勘違いしたサド教師の胸中では暴風雨が吹き荒れて行く。

(どうした? ヨシヒロ。まさか、お前、これでお終いって事はないよな?

 もっと責めろ、こんなモンじゃ智代の奴に後で笑われるぜ。ヨシヒロ、さあ

 、どうした、面白いのかこれからだぜ)

神父の言葉を聞き流しながら、サド教師の顔に憤怒の影が広がって行く。だが

、前澤は誤解していた。彼が全てを託した少年は、けして恐れることも、また

サボることも無く、傍観者達の中で唯一危険な由梨江の目を逃れて、最後の、

そして凶悪な責めに至るタイミングを密かに計っていたのだ。

 

「それでは、誓いのくちづけを… 」

苛立つサド教師の耳に、神父のお決まりの台詞が飛び込んで来た。

ヴァージンロードを苦難の道行きにと変化させた膣の中で暴れたローターは、

ありがたいことに祭壇では動きを止めてくれたから、智代は限界ギリギリのと

ころで何とか踏み止まり、理性の崩壊を防ぐことが出来ていた。

あのまま神父の能書きの最中も間断なく責め続けられていたならば、やがて知

性の鎖は脆くも引き千切られて、彼女はこの場にへたり込み、愛おしい御主人

様の白いタキシードのズボンのファスナーを降ろして、彼の股間に顔を埋めて

しまっていたかも知れない。

親族や来賓の見守る中で前澤の一物を口にして性交をねだる狂態を曝す危機を

辛くも脱した花嫁は、あらかじめ塗られた強烈な媚薬に意識を徐々に侵食され

ながらも、健気に堪えて祭壇で佇んでいた。夫と成るサド教師の悪戯から、女

陰は狂ったように燃え盛り、ほんの些細な刺激でさえも女体は機敏に反応して

智代を大いに悩ませる。傍らで仏頂面を見せる前澤の思惑以上に彼女は危機的

な状況に追い込まれていたのだ。

 

「それでは誓いのくちづけを… 」

もう少し、あと少しで、この苦難と甘美な地獄を乗り切れると考えた彼女の耳

に神父のお決まりの台詞が流れ込んで来た。キスを終えれば、あとは退場が待

つだけだから、中途半端な少年の責めに不満を持っていた前澤だが、後は流れ

に身を任せるよりも他に手立てはない。

(ちぃ、さすがに餓鬼にはちょっとばかり荷が重かったな。まあ、まんざら大

 失敗と言うわけでも無いさ。思い返せば、それなりに楽しめた)

ヴァージンロードを父親と共にふらふらと歩む有り様を思い出しながら、よう

やく前澤は憤怒を紛らわせ不満げな気配を押し殺す。一方、ようやく若干の落

ち着きは取り戻したが、それは危うい剣が峰の端で、かろうじてバランスを取

っているに過ぎぬ事を自覚する花嫁は、ようやく愉悦の地獄から解放されると

信じて儚気な笑みを浮かべて新郎を見つめた。

(まあ、余り多くを望むのも酷って言うものか? 餓鬼にしては良くやったぜ、

 ヨシヒロ)

神父の言葉に促され、前澤は花嫁の前に歩み寄り美貌を隠していたベールを捲

りあげる。少し前屈みに成り感激で瞳を潤ませる智代に顔を寄せて、その艶や

かにルージュで彩られた唇に、自分の唇を寄せた瞬間、彼女はいきなり力の限

りに花婿にしがみつく。何が起きたのか分からぬ前澤の目の前で、誓いのキス

の為に目を閉じていた智代が、カッ! と目を見開く。

その瞳からは瞬時に生気が吹き飛び、黒目は忙しく動き回り、やがて有らぬ方

角を見つめたまま焦点を失い、次の瞬間にはぐるりと回って瞼の裏に消えてし

まった。力を込めて前澤の二の腕にしがみついた花嫁の手は、何度も大きくガ

クガクと揺れ、誓いのキスを目前にしていたかわいらしい唇はだらしなく開か

れて、その端からは一筋の唾液が滴り落ちた。事、ここに至り、ようやく前澤

は自分の相棒がどれほど鬼畜な小僧だったかを思い知り、同時に心の中で歓喜

の雄叫びを張り上げた。

 

(やるな! やってくれるな、ヨシヒロ。ここで、こう来るとは… 畜生、お

 前はまったく最高の相棒だ! )

神様の目の前で夫婦と成る二人が誓いのキスを交わす、まさにその時、芳弘は

隠し持っていたコントローラーを用いて膣内のローターを最大出力で振動させ

たのだ。なまじ少しの間、インターバルがおかれた事で、膣の中は強力な媚薬

の効能が隅々まで行き渡り花嫁を悩ませていた。

若干の静寂から神経がより過敏化してしまったところに持って来ての、この弄

逆は瞬時に智代の意識を刈取り、彼女の意識を深い暗闇へと蹴り落とす。けし

て油断していたわけでは無い奴隷女だったが、あと少し、このキスを無事に終

えれば、とりあえず一段落だと甘く考えた矢先の暴虐だったから、智代は身構

えることも堪えることも出来ぬまま、意識が途絶えてしまっていた。

他から見れば、誓いのキスを交わす行為に感極まった花嫁が貧血でも起こして

倒れ込んだようにしか見えぬ、そのタイミングを見計らった少年の地獄の責め

を目の当たりにして、前澤は歓喜の笑みを堪え切れない。これだけ多くの来賓

や親族の目の前でイッた奴隷女の堕ちっぷり、そして奴隷女を暗黒世界に突き

落とす手助けをした相棒に恵まれた幸運を胸の中で噛み締めながら、さも誠実

な夫のような顔をして、前澤は絶頂の果てに崩れ落ちる花嫁を力強く抱きとめ

る。

 

「おっ! お姉ちゃん! 」

式の途中から花嫁姿の姉の所行に不審の目を向けていたので、昏倒した新婦の

姿にざわめく親族の中からは由梨江がいち早くに立ち上がり、祭壇の前へと駆

け付ける。

「どうやら、緊張の余り、気を失ってしまったみたいだ」

意識を失い美しいくも可憐な人形と化した花嫁を抱きかかえながら、冷静さを

保った前澤が義理の妹と成った由梨江に声をかける。

「お姉ちゃん、しっかりして、おねえちゃんてば! 」

突然のアクシデントに教会の内部は一時、騒然となった。しかし新郎の前澤に

は焦りも驚きも無く、静かに気絶した花嫁を支えていた。恍惚の表情のまま意

識を飛ばした花嫁の顔を見て満足げに頷いた前澤は、慌てるホテルの関係者を

目で制して、今度はお姫様だっこで智代を抱え上げた。

 

 

 

 


次に進む

 

目次に戻る


動画 アダルト動画 ライブチャット