その38

 

 

 

 

コンコン… 

前もって出入り自由なカードキーを預かってはいたが、それでもいきなりドアを

開けるような不調法は慎み、芳弘は人気のまったく感じられぬホテルの最上階の

廊下に立ち、スイートルームの分厚い扉を遠慮勝ちにノックした。しかし予想通

り今回も中からは応答が無い。もう一度ノックを繰り返して数十秒の間、返答を

待った少年は半ば予想していた事と言っても、多少戸惑い小さく溜息を漏らす。

(一応、ノックしたんだから、いいよね? )

防音性の高いスイートルームだから、廊下から中の様子を窺い知るのは難しい。

ドアの前で途方にくれた芳弘は、ひとつ頷くと踏ん切りを付けて手にしたカード

を用いて施錠を解いた。カチャっと言う音で鍵が開いたのを知った少年は、ドア

ノブを握るとゆっくりと手前に引いた。

「あの、僕です。新田です… 前澤先生、いらっしゃいますか? 」

結婚式の二次会が思いのほかに長引いた事も考えられるので、明かりが落ちたま

まの室内に足を踏み入れた少年は左右をきょろきょろと見回しながら静かに奥へ

と進んで行く。

「おう、来たか、まっていたぜヨシヒロ」

風呂上がりなのか? 濡れた髪の毛が頭皮にぺったりと張り付いた状態で、バス

ローブを羽織った前澤が奥の部屋から姿を見せた。

「昼間は御苦労だったな、お前のおかげで最高の結婚式と披露宴になったぞ。だ

 から、お前が出られなかった二次会は随分と退屈だったよ」

手にしたバスタオルでゴシゴシと濡れた頭を拭きながら、前澤は陽気に話し掛け

て来た。

 

「あっ、あの、あれで本当に良かったのですか? 」

今さらながらに昼間の結婚式と披露宴での傍若無人な振るまいに不安を持った若

者は、おそろおそるオタク風の科学教師の顔色を窺う。憧れていた女教師の結婚

式の席で、新郎である科学教師から委ねられたコントローラーを用いて、芳弘は

ウエディングドレス姿の智代の股間に埋め込まれた特大のローターを暴れさせて

いた。

彼の弄逆は限界を超えたから、智代は教会での新郎との誓いのキスの直前に悶絶

する羽目に陥っている。その場は前澤が機転を利かせて切り抜けたが、改めて振

り返れば自分が調子に乗り過ぎていたのは明白なので、芳弘は正直、困りきって

いたのだ。

式や披露宴の最中に花嫁を特大ローターで責めたのは後悔は無い、だが、結婚式

の最中に智代を悶絶に至らしめたのは失敗であろう。やりすぎを悔いる芳弘だが

、首謀者である前澤の方は、むしろ式の最中に美しい新婦の意識を刈取るほどに

凄惨な責めを負わせた少年の手腕を誉め上げていて、まるで気にしていないのが

救いと言えば救いだった。

こうして面と向かって顔を合わせても、前澤の方には何ら屈託は感じられない。

むしろ自分が思っていた以上に芳弘が残酷な責めを敢行したことを高く評価して

、彼を相棒に選んだことを心から喜んでいるようにも見えた。いくらなんでも考

えが足り無かったと後悔する少年を他所に、オタク野郎の科学教師は彼を別室へ

と誘った。

 

「こっちだ、ちょうど智代の支度も整ったところさ」

前澤が彼女を呼び捨てにするのは、これが初めてのことでは無い。それどころか

彼等の企みに見事にはまって、狂乱の宴のメンバーに加わったころから、オタク

科学教師は一貫して智代を呼び捨てにして来た。だが、昨日までと決定的に異な

るのは、智代が今夜からは前澤夫人であり、このサド教師の正式な妻に成ったこ

とであろう。

昨日までは奴隷女教師だった智代が、この夜からは人妻奴隷女に変わる事に対し

て、少年は自分でもはっきりとは分からぬモヤモヤを胸中に抱え込んでいた。そ

れは世間で言う所の嫉妬と言う感情である事がしばらく後で自覚したが、新婚初

夜への乱入を認められた芳弘は、まだ己の真意を掴みかねている。だが彼はいつ

までも自分の胸の内にある複雑な感情を持て余してはいられない。

スイートルームの広く豪奢な寝室に招かれた少年は、入り口で立ち止まり思わず

息を呑んだ。そこには昼間の結婚式と披露宴で純白のウエディングドレスを身に

付けていた智代が、そのままの装いでドレッサーの前の椅子に腰掛けて、闖入し

て来た二人を柔らかな笑みを浮かべて見つめていたのだ。

自分でも扱いに苦慮していた複雑な思いはたちまち心の片隅に蹴飛ばされ、少年

はかつて憧れの対象だった女教師の美しさを改めて思い知る。一時は、この美の

女神の化身と信じた女教師を自分だけの者だと錯覚した。腹黒いサド科学教師の

裏での暗躍をしる由もなかった故の思い上がりではあったが、ほんの少しの間だ

けと言っても、崇拝して止まない美貌の女教師を一人占めした幻影は彼を幸福に

酔わせていたものだ。

だが、そんな少年の幻は、やがてサド科学教師の出現で一瞬にして砕け散る。至

高の美の化身と崇めていた女教師が、被虐癖を満足させる為ならば平気で生徒に

股を開き性行為を強請る淫売と知った時の芳弘の困惑は深く、受けた衝撃のさめ

やらぬ間に、二人の乱行のパートナー的な立場に成った今でも、少年の心は時折

大きく揺れ動いている。

 

童貞を捧げた美しい女教師を愛おしいと思う反面、その筆おろしの行為そのもの

も、オタク教師の命令に従っただけのマゾ奴隷女を蔑み苛立つ気持ちが心の中で

何度も決着の付かぬ葛藤と成り芳弘を悩ませていた。いっそ恥知らずな淫売と軽

蔑し尽くす事ができればどれだけ気楽であろう。

だが高校に入学した当初から聡明で柔和な女教師に憧れ続けて来た芳弘だから、

痴情に溺れる売女と簡単に切り捨てることは困難なのだ。また、前澤の所有する

被虐奴隷女と言う位置付けを曝した後には、お互いに共通の秘密を分け合う存在

と成ったことから、学校で偶然、二人きりになった時に見せる淫媚で艶やかな笑

みは、それはそれで少年の心を大いに踊らせていた。

しかし、そんな智代と別れて学校のクラスの喧噪の中に戻ると、芳弘は自分の心

を計りかねて悶々と成る。自分はいったい、どうしたいのか? 智代を憎み怨み

ないのか? それとも彼女の柔肌を一人占めしたいのか? 前澤と手を組み美貌

の女教師をとことんまで堕としてみたいのか? そのときどきで考え方がコロコ

ロと変わる己の座らぬ性根に嫌気を感じながらも、こうして招かれれば、たとえ

新婚初夜の場へでも馳せ参じてしまう自分を、少年は呆れながら容認もしていた。

前澤の招きをちっぽけな自尊心の為に蹴り飛ばしてしまえば、こうして智代のウ

エディングドレス姿を間近で拝むことは出来ない。純潔を意味する真っ白なドレ

ス姿の美貌の女教師を、これから前澤と共に辱めるとあれば、少年は複雑な心情

を一時的に胸の中で引き出しに納めて見て見ぬふりを決め込む。

 

「どうだ、改めて近くで見ると、中々なもんだろう? 」

今日を限りに自分の妻と成った奴隷女の艶やかなドレス姿を見る前澤の目に、剣

呑な獣の光りが宿っているのを芳弘は見のがさない。これからどう成るのかと、

固唾を呑んで見守る少年の前で、前澤はバスローブを脱ぎ捨て全裸を曝す。良人

の股間の猛りを頬を染めて嬉しそうに見つめた智代は、命じられたわけでも無い

のに立ち上がると、いそいそと彼の前まで足を進めて真正面にしゃがみ込む。

ウエディングドレス姿の智代であるが、それが当然だとばかりに彼女の前で胸を

張る前澤に対して、胸の中に封じ込めたハズの嫉妬の炎がチョロチョロと顔を出

すから少年は苦笑いを浮かべるばかりだ。そんな芳弘の複雑な心境など他所に智

代は喜色満面で、勃起した夫の一物を躊躇うことも無く口にする。

口腔の中で鋼の硬度を示すサド教師の肉棒は、被虐癖を隠すことも無くなった美

しい花嫁を狂喜させている。噎せぬように気遣いながら咽の奥深くまで呑み込め

ば、躯の芯に震えが走り息苦しも快感を呼び覚ます材料と成る。咽の粘膜までも

使って呑み込んだ亀頭を刺激すれば、言葉に成らぬ不思議な感情が彼女の胸中で

膨れ上がる。

 

 

 

 

 


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